風通しがあまりよくない職員室であっても、さすがに世の中がこれだけ変わっていこうとしていることに対して焦りを覚えるようになったのか、勤務校でも勉強会を始めようという機運が見られるようになってきました。
ゆえあって、自分が多少、最初はどうするのかを提案することになったのですが、さて、何から始めようかと悩ましいところです。
基本方針
やれと拝命した以上は好きなことをやろうと思います。これは文句の多い自分にとってはチャンスである。
さて、校内研修という形になるのだけど、一方的に自分が話し続けることはしたくないと思うのです。一斉授業でもそうですが、小難しいことを話して相手に分かった気にさせただけで満足していては、何もしていないのと同じです。ちゃんと実感をもって納得してもらい、実際の行動につながってもらわないと意味がない。
だから、あえてスパルタ形式で(笑)、課題図書を決めて輪読方式で行こうかなあと思います。持ち回りでその日の進行は担当の先生に頑張ってもらうということで。
さて、そうなると課題図書をどうするかということを思案したいところです。ただ、基本方針としては、以下のことは守りたい。
- ノウハウ本は使わない。事例の自慢大会になっても生産性はない。
- 自分ではあまり読まないであろう本を読んでもらう。
- 一章があまり重くなりすぎないようにする。
- 指導要領や答申については目を通す必要を感じてもらう。
- 参加者の誰にとっても不慣れなことにする。特定の人ばかりに有利にならないようにする。
誰もがフラットに、知らないことを一緒に学ぼうというスタンスになってくれるといいなあと思う。逆に知らないことをゼロからやろうと思うと、敷居が高くなるのでどこまでついてきてくれるか不安なのですが……ただ、やっぱり誰かが「自分はこんなことを知っている」と出しゃばり出したらうまくいかないだろうなあと思う。
研修に使ってみたい候補本
さて、そんなことを考えて候補を考えてみる。最近、岩瀬先生が
と非常に参考になるものをご紹介してくれていたので、これも参考に……。
この一冊で、だいぶ議論としては整理されるし、学校としての理念づくりから実際の授業づくりの観点、評価まで総括できると思う。……が、かなり難しい。
これも論点がかなり整理されているので、一冊、読みつつ意見交換できればかなりいいよなあと思う。2014年の本であり、やや情報としては不足気味かも。指導要領が「主体的・対話的以下略」になったこともありますし。
指導要領のことや学校で実際に使っていくという観点ではこちらの本がやはり使いやすいかと思う。答申などの解説もあるし、学校として指導要領や教育改革の流れを読み取るには無難な一冊だと思う。難点としては分かりやすく書かれているので、分かった気になって原理原則まで下りていこうという意識が持ちにくいかもしれない。
アクティブラーニングの技法・授業デザイン (アクティブラーニング・シリーズ)
- 作者: 溝上慎一,安永悟,関田一彦,水野正朗
- 出版社/メーカー: 東信堂
- 発売日: 2016/03
- メディア: 単行本
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これも良い本だ。しかし、これを読み解くには自分で多少関連資料を調べないと話が広がらないかも。
この本は個人的には今年のイチ押し本ではある。
これも答申ベースなので学校にとっては馴染みやすいし、理解しておきたいことが多いと思う。難点としてはやはり「分かりやすい」がために、事例を挙げての自慢大会になりかねないことだ。
パフォーマンス評価で生徒の「資質・能力」を育てる―学ぶ力を育てる新たな授業とカリキュラム
- 作者: 西岡加名恵,永井正人,前野正博,田中容子,京都府立園部高等学校・附属中学校
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2017/02/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価 アクティブ・ラーニングをどう充実させるか
- 作者: 西岡加名恵
- 出版社/メーカー: 明治図書出版
- 発売日: 2016/09/23
- メディア: 単行本
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評価については考えなければいけないところ。しかし、評価論は結構考えるのが難しい。どうしても考査の点数だとか入試のことが先に来てしまうので真正の評価とは現場感覚としては難しいかもしれない。
どんな高校生が大学、社会で成長するのか―「学校と社会をつなぐ調査」からわかった伸びる高校生のタイプ
- 作者: 溝上慎一,京都大学高等教育研究開発推進センター,河合塾
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2015/07/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なぜアクティブラーニングなのかということを、入試というツマラナイ観点から脱して、今の授業をどうにかしなければいけないという危機感を持つにはよい一冊。しかし、これは統計も絡んで読むのはけっこう骨かもしれない。
ようこそ,一人ひとりをいかす教室へ: 「違い」を力に変える学び方・教え方
- 作者: キャロル・アントムリンソン,Carol Ann Tomlinson,山崎敬人,山元隆春,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2017/03/17
- メディア: 単行本
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生徒に寄り添うということを真剣に考える必要があると思っている。口を開けば「生徒がやらない」「生徒の質が下がった」ということを言う体質を根本から変えるには、こういう本を真剣に読むべきかもしれない。しかし、逆に理想論過ぎて他人事のように思われる恐れはある。
これもよい本なのだけど、教科でバラバラなので教科を超えてやる場合には使いにくいかな。
「コンピテンシー・ベース」を超える授業づくり (教育の羅針盤)
- 作者: 安彦忠彦
- 出版社/メーカー: 図書文化社
- 発売日: 2014/12/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「活用」についての議論などもある。難点はアクティブラーニングではないので、興味を引きにくいかもしれない。本当は現行の指導要領だってちゃんと理解していないので、今の子どもたちに対してはここからやるべきなんだと思うけど。
今求められる学力と学びとは―コンピテンシー・ベースのカリキュラムの光と影 (日本標準ブックレツト)
- 作者: 石井英真
- 出版社/メーカー: 日本標準
- 発売日: 2015/01/27
- メディア: 単行本
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PISAなどを踏まえ、コンピテンシーベースとは何かを説明し、さらにその問題点まで書いてあり、後半はパフォーマンス評価についても書いてある。薄い割には内容はてんこ盛りである。よい本だと思うけど、やっぱり難しい。
学習する学校――子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造する
- 作者: ピーター M センゲ,ネルダキャンブロン=マッケイブ,ティモシールカス,ブライアンスミス,ジャニスダットン,アートクライナー,リヒテルズ直子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2014/01/30
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組織を作るという意味ではもっとも読まなければいけない本だと思っている。しかも、一番下っ端の自分だけが読んでいても一切意味がない本である。これこそ職員研修で輪読すべき本だと思うのだけど……900ページは無理だろうな(´;ω;`)。
原理・原則という意味では苫野一徳先生の話がやっぱり自分にとっては大切なところ。それだけに共有したいと思う一方で、いい加減に扱われたくないという気持ちもあり、紹介をためらう部分もある。
「学びの責任」は誰にあるのか: 「責任の移行モデル」で授業が変わる
- 作者: ダグラスフィッシャー,ナンシーフレイ,Douglas B. Fisher,Nancy E. Frey,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2017/11/17
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これはなかなか面白い本。自分がまだまとめ切っていないのを投げるのも無責任かなと思う一方で、自分もフラットに読み合うのもいいかな。
高校という狭い視野から抜け出すのであれば、このあたりの本でなぜアクティブラーニングを大学から降ろしてこなければいけないのかということについてのリアリティを感じるべきかなぁという気はする。ただ、こういう迂遠なのは教員にはウケない。
カリキュラム・マネジメント入門―「深い学び」の授業デザイン。学びをつなぐ7つのミッション。
- 作者: 田村学
- 出版社/メーカー: 東洋館出版社
- 発売日: 2017/03/03
- メディア: 単行本
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うーん…良い本だけど、ノウハウに注目されてしまうかなぁ…。
イーガンは「深い学び」という点では絶対に参照すべきだと思うが……海外の事例だとやっぱり色々と共感してもらうのが難しい。
うーん……本当に何にしよう?
おすすめばあればおしえてください
自分が読む本が偏っていると思います。
もし、研修などで使ってよかった本があれば教えてください。