昨日、こういう記事を読んだ。
現在はアクティブラーニングで学校がてんやわんやしていることもあって、ルーブリックやタキソノミーという話は色々なところで目にする。
しかし、個人的にこれがあまりしっくりこないことも多いよね、という話です。論考というよりは、いつものように愚痴である。
色々なところで見かけるルーブリックなど…
ルーブリックが色々なところで見かけて、しかもそれがあまり質的によくないんじゃないかという話は以前にも記事に書いたことがある。
評価が難しいよね…安易にルーブリックとか言えないよーって半年前にも嘆いていましたね…。
上の二つの記事に共通して持っているというか今でも感じている問題意識としては、言葉だけが先走って見た目だけ何だかルーブリックっぽいものを使っているだけなんじゃないかというものがある。
これは

今求められる学力と学びとは―コンピテンシー・ベースのカリキュラムの光と影 (日本標準ブックレツト)
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の中で、「パフォーマンス評価」と「行動目標に基づく評価」とを区別することが述べられいる(PP.58-60)が、その区別をきちんと理解しないのが実情なのではないかと感じている。すなわち「行動目標」が「ドリルで機械的に訓練できる要素」(P.58)であることと、「パフォーマンス評価」が思考過程などの全体的な「熟達度」を把握しようというものであることの区別をしていない。
そのためその文脈で出てくるルーブリックは「行動目標に基づく評価」のためにルーブリック……というか、チェックリストに過ぎず、授業の見た目は変化しても内実に変化はないのではないかと思うのである。
そもそも、そうなってしまう原因を掘り下げると、やはり「知識とは何か」「授業とは何か」「分かる・できるとはなにか」ということに対する掘り下げや追究が教員に足りていないことに問題があるんじゃないかと感じる。
まあ…ルーブリックを使ってみようだとか考えるだけ、ちゃんと今の授業から改善しようとするだけマシなのかもしれませんが。それすらもしないで授業したのにできないのは生徒が悪いと居直り強盗がいるので…以下略。
ルーブリックが流行なのは前月号になるが、
を見てもらえれば分かるが、ルーブリック祭りである。しかし、例に挙がっているルーブリックについては疑問符をつけざるを得ない。上で述べたような「行動目標に基づく評価」にはなっており、ルーブリックというよりはチェックリスト、パフォーマンス評価というより確認テストに近い。
そしてタキソノミーが教育産業にも…
大学入試が変わるのに先立って、中学入試も変化しつつあります。先日、開成中学校が思い切ったことをしたことで話題になりましたね。
そのような流れについて、首都圏模試センターが次のようなコラムを書いています。
子供の学力の新観点「思考コード」を知っていますか?|コラム|首都圏模試センター
これはかなり雑な整理であるけど、まとめかたとしてはまさにL.W.AndersonとD.R.Krathwohlらの改訂版タキソノミーなのです。
まず、そもそもこういう議論が保護者が目にするレベルで人口に膾炙しつつあることに時代の流れを感じる(逆に学校の教員のほうが知らないっすよ、こういうの)とともに、このような一見して分かりやすいものに飛びついてしまう現場や教員が多いことにも問題を感じる。
例えば、この改訂版タキソノミーの説明であるが、学校でこの説明を鵜呑みにしてしまうと、授業の問い直しをしていこうということに冷や水を浴びせることになりかねないのですが、分かるでしょうか?
それは改訂版タキソノミーについてAndersonらが認知プロセスとして、理解は記憶よりも、応用は理解よりも難しいということを前提にしていると述べているが、その結果、あたかも思考の種類が難易度で階層化されて、学ぶのに順序性があるかのように見えてしまうのである。
つまり、もう少し具体的な学校の場面で言うのであれば、こうなる。
「理解がまともにできないのに、探究だとか活用だとかはやれない」
「基礎・基本が出来てから創造的なことをやりましょう」
「学力がないので教え込むことから始めます」
ね、こうなってしまうと、アクティブラーニングなんてどうでもよいという言葉に免罪符を与えてしまうわけです。
特に、首都圏模試の説明は入試問題に当てはめたものであるから、この思考の階層化が強調されてしまっている。その点に気を配らずに、そのまま授業に使ってしまうと「基礎が重要だから今回は創造の分野はやらない」などとなってしまう。そんな単純な話ではないはずなのにね。
ブルームタキソノミーおよび改訂版タキソノミーに対する批判と改善案についてマルザーノの次の本がかなり面白い。

- 作者: ロバートマルザーノ,ジョン・S.ケンドール,Robert J. Marzano,John S. Kendall,黒上晴夫,泰山裕
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2013/09/25
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結構、難しいので消化しきれていないので解説は避けますが、こちらの方が本のタイトルの通り、「授業設計」のためには活用がしやすい。例えば思考を導き出すための問いなどを、それぞれの思考タイプの各分野について具体的な例を紹介しているので、その文言を置き換えていくことで授業設計が出来上がるのである。
ただ、こちらの本の厄介なのが「メタ認知」をかなりの割合で扱っているので、教員にとってはかなりイメージしにくい部分もある。
うーん…「メタ認知」という言葉自体もちょっと食傷気味に流行っているので、ちゃんとメタ認知とはどのレベルなのかということを知るにはよい本なのだけど、いや…難しい。
本日の結論らしきもの
某B社の冊子だとか実践報告だとかで覚えたカタカナ言葉を簡単に自分の授業で使う前に、少し下調べしたほうが安心ですよー。
やっぱりタキソノミーもルーブリックもちゃんとやろうとするとさっぱり分かりません……。中途半端なものをやるのが自分はとにかく怖いのです。