ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

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TPチャートで「観」を鍛える

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新年度に向けて自分のことを振り返る時期です。そんなときに非常に強力なツールとして使えそうな方法に出会いました。

教師のための「なりたい教師」になれる本!

教師のための「なりたい教師」になれる本!

 

この前の『リフレクション大全』に紹介されていて気づいた方法ですが、非常に強力なのだと、上の本を読んで痛感しました。

www.s-locarno.com

少しだけ思うところを紹介します。

具体から「理念」へと深める

TPチャートの具体的な内容や方法論については、提案者である栗田佳代子先生のサイトが最も詳しい。

kayokokurita.info

上のサイトを見ていただければ、全容を掴むことができるし、実際にTPチャートづくりも実践できる(実際、自分も本とこのサイトを見ながら少しやってみました)。

TPチャートの理念や詳細な方法は実際にそれぞれの参考書籍などを読んでいただくとして、自分が共感したのが以下のような考え方です。

流れとしては、具体的な項目から始めて抽象的な項目に取り組んでいきます。つまり、実際に行っている活動を挙げて、それらの背後にある考え方など、より抽象的な方針や理念に迫っていきます。

理念から考え始めると、社会的に理想とされていることなどいわゆる「借り物」になりやすいのですが、普段からの活動から深く考えていくことで、活動のあちこちに知らず知らずのうちに現れていることを手がかりにして、心の奥底にある理念に近づいていくのです。(P.31 下線強調は引用者)

自分が何をやりたいのか、自分が何を考えているのか、完全に自分のことを分かっているという思い込みは危険である。

本書の第四章で実践者のTPチャートを使った時の振り返りが紹介されている。その中で「自分はこういう理念に基づいて授業をしていたつもりなのに」という反省が共通して述べられている。

この「反省」を読むと、自分も同じような陥穽にはまっているのではないかと思わされるのである。つまり、自分の「理念」と「やっていること」が知らず知らずのうちに合致しなくなってくるということだ。

日々、なぜ授業が上手く行かないのか、どうしたら生徒が乗ってくるのか、そんなことをずっと考えて過ごしているのが教員である。しかし、その悪戦苦闘から抜け出すことは、出口の見えないトンネルをさまようようなもので……なかなか抜け出せない。

そういう「悪戦苦闘」からの脱出のための一つの手段としてTPチャートは強力なのである。

「方針」と「理念」を一致させる

TPチャートの作成の過程で自分の立場や自分の実践を振り返りつつ、それぞれの具体的な方法が自分のどのような考えについて結びつくのかというようなことを確かめていくことができる。

また、一人だけで作るのではなく、複数名で作ることで、それぞれの授業観についての交流にもつながる。

非常に作業自体はシンプルであるが、こういう「理念」や「方針」を腹を割って話し合う機会はとにかく学校には不足している。だからこそ、機を見て、色々と教育について話せる機会を持てるように学校内に呼びかけて、勉強会をやっているのである。

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TPチャートをつくると、視覚的に自分の実践を位置付けることができますし、そもそもTPチャートのワークショップが「交流」も組織的に位置づけられているため、効果的な交流ができるように感じます。

こういう青臭いような、でも、上滑りではない「振り返り」は学校の現場こそやりたいことだと思う。

ALPと組み合わせうるか?

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ALP(アクティブラーニングパターン)も「実践の振り返り」の意味では便利なツールです。TPチャートと比較して考えるのであれば、ALPは「抽象」から「具体」へという発想でしょう。

ALPとして書かれていることは、どれも名人の方法を抽象化し言語化したものである。その言語化された抽象的な考え方から「自分ならこうする」という話を深めていくツールである。

一方でTPチャートは自分の実践を理念へと抽象化していくものである。

だから、言うなれば、TPチャートづくりとは自分のALPを作ることと言えるかもしれない。

学習指導要領の構造化

TPチャートは「理念」「方針」「方法」の構造化のツールである。その考え方に基づいて、本書では以下のように学習指導要領を構造化している。

(『教師のための「なりたい教師」になれる本!』P.121より)

これは、他では言及されていない考え方なので、これから学校のカリキュラム・マネジメントに取り組む際には参考になる整理ではないだろうか。

また、この整理の仕方を通じて、本書では、「教育基本法の「理念」、学習指導要領の「方針」「方法」を踏まえた上で、私たち一人ひとりが、借り物ではない自分の言葉による「理念」を持ち、それを現場で実現していくことが、いま教員に求められていること」(P.122)だと述べている。

「手段」の議論に終始しがち、もしくは「何を教えるのか」というようなコンテンツだけの話に終始しがちな現状があります。

だからこそ、少しずつ「理念」と「方法」の往還を自覚的に取り組む時期なのかもしれないですね。

機会があれば、TPチャートでワークショップをやりたいものです。

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