ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

語彙指導の難しさ

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こんな論文を読んだ。

gair.media.gunma-u.ac.jp

生徒の様子を見ていると色々と感じる。

国語科と他教科の語彙

「国語科が全ての教科の基本だ」という言説はよく聞く。実際、国語科の授業で色々な言語活動を通して、言葉を使うということに習熟していくことで、他教科の学習でもよい影響が出るだろうという理屈はよく分かる。

ただ一方で、国語の授業だけで他の授業で必要な語彙を教えきることは難しいと感じるし、国語の授業ではなく、むしろ各教科の文脈で扱った方が生徒によりよく定着してくれるのではないかという気持ちもある。

上記の論文の中では、「小学校中学年以降の教科書のデータを基に、国語科で指導すべきと考える語彙を提示する」という目的のために、教科書の語句を調査しているが、その結果を見るとかなり意外な印象を受ける。

思いのほか国語科の授業のカバー範囲が広いのだなぁと思ったり、国語の教科書には掲載されていないけど国語の授業では口にしていそうな語句が他教科にあったり、直感からは想像できない示唆があるので、このデータだけでもかなり興味深いものがある。

「他教科の学びに必要であり、かつ、子どもの言語生活を豊かにする語彙」を選定するという研究に単純に面白さを感じます。

生徒の語彙力をめぐって思うこと

この論文で提示されている語彙のリストを眺めていると、高校生を教えている自分でも「確かに、この辺りの言葉は生徒の理解があいまいかもしれない…?」と納得できるものがある。「周辺」とか「強いる」とか「貢献」とか……生徒が漢字の印象で勝手に推測していて、実は結構、教える側と意味がズレたり…みたいな語彙は確かにある。

生徒の書いてくるものを読んだり、話し合っている様子を見たりしていると、ちゃんと使う言葉や表現の指導を入れないと生徒の使っている語彙や表現はある程度の幅に収まってくる印象がある。

一年間、大福帳を書き続けてもらうと、特にそれは顕著に分かる。何気ない、多少、緊張感が抜けた書き物ほど、使える表現の素が出るように感じる。

国語教師のための語彙指導入門

国語教師のための語彙指導入門

  • 作者:鈴木 一史
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: 単行本
 

改めてこの本を手に取って読み直しているが、よい本である。実際に語彙は使わないと身に付かないという当たり前ながら奥深いことが確認される。

新聞の語彙は難しい

また、国語の授業の中で新聞記事は題材として使いやすいので、生徒に授業中に読んでもらうことはままあるのだが、授業者としては軽い気持ちで「読んでごらん」と提示したつもりなので、生徒からすると語彙のせいで非常に負担になるようなのである。

果たして生徒が読む力をつけるためにはどうすればいいのでしょう?

意識的に授業で取り上げていかないといかんなあと思うのです。読め、書け、だけでは上手くいかないでしょうし、語彙指導に当てられる時間も多くはない。

辞書をどうつかうのか…ということも含めて色々なことが難しい。

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