ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

解説の視線をどこに合わせるか

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受験学年を教えていると入試問題を扱う回数が増えてくる。基本的には自分で考えろというスタンスなんだけど、入試のお作法は教えるほうが早いし、その方が生徒自身が自学自習できるので、色々と解説授業をする。

一斉授業の難しさ

自分はそれほど一斉授業が好きではないので、あまり技術的に磨くという作業をサボっている感じもあって、解説授業は得意ではない。楽しく愉快に本質をつくような授業は出来ないので、どこかで表現を誤魔化しながら、分かったつもりを目指すようなことになりやすい。

白石範孝の国語授業の技術

白石範孝の国語授業の技術

  • 作者:白石 範孝
  • 発売日: 2013/02/15
  • メディア: 単行本
 

まあ、入試問題の解説と普通の授業の一斉授業の技術ではだいぶ差はある。個人的には後者の方が一層難しいので、とてもじゃないけどあと十数年で身につけられる気がしないでいる。

幸いにして、入試問題の解説に関しては、ロールモデルになるような授業を予備校の研修に有料無料いくらでも参加できるので、そこで学んだことを活かすことをしやすい。

予備校の研修にどれだけお布施を払っているか……数えたくない。

視線をどこに合わせるか

授業の解説の視線をどのレベル層にするかということが一番むずかしい。小中の教室ほど学力や意欲の格差があるとは思わないけれども、それでも興味関心やモチベーションがバラバラの生徒を一斉にひきつけるということが難しい。

個別学習、協働学習などを前提とした単元学習ならば、生徒一人ひとりの言語活動が何となくつかめるので、「この場面ではこれ、この場面ではこっち」と生徒の動きが想像できるし、必要に応じて生徒に手渡せるカードを数多く準備しておけるので、気張らないで臨める部分は多い。生徒の実際の活動を見て、たどり着きたい状況にたどり着けるように必要な支援を選んでいくというイメージである。

これが一斉授業になると、個別の生徒に単元学習を展開しているときほど細かく見てはいられないし、一回の伝え方、見せ方で伝えなければいけなくなるので、非常に不十分な支援しか出来ていない、成長を促せていないのではないかという気持ちが湧いてくるのである。

基本的に、わかり易すぎる解説はダメだろうと思っている。

特に入試の現代文については、記述問題であればなおさら、模範解答が慣例的に示されないので、結局、何が正解なのかということは誰にもわからない。だからこそ、生徒にすんなりと理解されてしまうような解説は怪しい。色々な言葉を尽くせば、生徒を説伏することはできるのだろうけど、それで与えられた答えが絶対的になってしまっては困る。提示された解説に対して少しの空白を残しておき、生徒自身が考えて解釈を選ぶ部分を残して置かなければいけないと思うし、解釈が割れそうな表現にあえて踏み込んで、解答にひっかかりを覚えさせたり……そういうことが出来ないといけないだろうと思うのである。

色々なところから情報を集め、成績開示と再現答案を蓄積していくと、何となくどのような評価がされているのかという予想はあるが、全ては藪の中である。個人的には、国語の採点に関しては、ある教育系の人気Youtuberがまことしやかに言っていることは怪しいと思っていますが、詳しいことは営業妨害になるのでこれ以上は言わないでおこう。

Youtuberはすさまじい

Youtubeに国語の解説授業は、著作権の関係もあるのかほとんど見られないのだが、たまに国語の話をしているのを見ると、よくこれだけの再生数を話術と板書技術で編み出せるよなぁと感心する。

授業を撮影して、動画にしてみるとわかるが、ただ授業を録画していても、内容としては貧相になってしまう。動画の向こうの「あなたに」向けて話しているのだというメッセージの伝わり方の強さがないと、動画は見られないのである。

しかも、どこの誰が見るのかわからない状態で「わかりやすい!」という気持ちを引き出すのだから、もう、これは凄まじい所業である。

某オンライン動画学習サービスは細かくデータを分析するチームがいて、それに沿って授業をリテイクして作る変えているので(それはそれで大変だけど)、ある程度のクオリティが出るのもわかるけど、ほぼ一発撮りで分かりやすく、人気の出るものを作ってしまうYoutuberは……技術としては恐ろしいものがあるね。素直に動画をみて、生徒に何がウケるかを勉強しますよ、ええ。

途中で気がそれてレトロゲーム動画ばかり見ているのはご愛嬌。マリオRPG最高

 

スーパーマリオRPG

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  • 発売日: 1996/03/09
  • メディア: Video Game
 

 

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