ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

全国学力・学習状況調査のリアクション…

全国学力・学習状況調査の結果が出ましたね。

www.nier.go.jp

早速、報道が過熱するのですが、どうしても順位づけして煽りたがるようである。

全国学力テスト2022の結果公表【都道府県別の一覧表あり】 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス

一覧を出す意図がどこにある?巧妙に「そんな意図はない」という言い逃れを残しておく姿勢も憎たらしい。

平均点に意味は無い

平均点でランキングをしようとする発想を止められない。良識の問題である。良識を期待できない社会だと直面させられる。

この調査結果については毎年必ず以下のような注意事項が書かれている。

調査結果の解釈等に関する留意事項

本調査は、幅広く児童生徒の学力や学習状況等を把握することなどを目的として実施しているが、実施教科が特定の教科のみであることや、必ずしも学習指導要領全体を網羅するものではないことなどから、本調査の結果については、児童生徒が身に付けるべき学力の特定の一部分であること、学校における教育活動の一側面に過ぎないことに留意することが必要である。

本調査の結果においては、国語、算数・数学、理科ごとの平均正答数、平均正答率等の数値を示しているが、平均正答数、平均正答率のみならず、中央値、標準偏差等の数値や分布の状況を表すグラフの形状など他の情報と合わせて総合的に結果を分析、評価することが必要である。また、個々の問題や領域等に着目して学習指導上の課題を把握・分析し、児童生徒一人一人の学習改善や学習意欲の向上につなげることも重要である。

https://www.nier.go.jp/22chousakekkahoukoku/report/data/22mlang_01.pdf より。2022/07/29確認 下線強調は引用者)

上記のような留意事項については全く情報として共有されない、報道されない、意識に上らない。

テストの結果の分析は非常に解釈が難しい。

だからこそ、この調査の「報告書」が長大に書かれて、説明がなされているわけだが、その資料についてきちんと正確に説明しようという意図は報道には見られない。意図的に無視して「平均点」ばかりを強調する姿勢である。

こういう数字による競争で、現場をさらに疲弊させたいのだろうか?

ただでさえ、現場への風当たりの強さから教職が敬遠されている時代に、さらに追い打ちをかけるように競争させる…それがどんな効果をもたらすのだろうか?

好き放題データを使う

相変わらず、読売新聞はICTを叩くことに腐心しているようで。

www.yomiuri.co.jp

単純な平均点と時間だけを見ると、傾向として見えてくるものがあるが、そこで話が止まってしまっては全く意味が無い。ただ、自分の気に入らないものを叩くために、都合の良いデータを選んで持ってきているだけである。

例えば、同時に出ているデータで学力層の「四分位」によるクロス集計が掲載されている(https://www.nier.go.jp/22chousakekkahoukoku/factsheet/primary.html)が、この観点でデータを見てみると、学力的に下位の子どもたちが必ずしも全員、SNSなどを長時間使っているわけではない。SNSなどの長時間の使用がもたらす影響は何かはあるかもしれないが、それが学力に直結しているとは必ずしも言えないだろう。

むしろ、短絡的にSNSなどを規正するだけのルールを作って指導をしたアリバイづくりで満足してしまうリスクの方が大きいだろう。

上の話もざっと見ただけの話なので、与太話です。はい。

雑記

なお、この調査の正式名称は「全国学力・学習状況調査」なのだが、これを安易に「全国学力テスト」と言ってしまうマスコミには強く反省を求めたい。公に対して正確な報道をするという矜恃を疑うところである。

一般人が「学力テスト」ということと、公の立場にあるマスコミが安易に使うのでは全く責任が異なる。

「テスト」と煽るから、もっと考えるべき問題を見誤るのである。

仮に点数が悪いのであれば、むしろ点数の悪い地域の困難な課題に支援を出すべきである。点数の高い地域があれば、その実践の本質を伝えるべきである。

なぜ、平均点で競わせて、困難を抱える地域や現場に追い打ちをかけるのか。

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