そろそろ自分が担当してる学年も高校生活を折り返したので、書くネタも尽きているところなので、メモ的に書いてみよう。
きっと気になる人も多いだろうから、普通の授業を続けた場合に比べて、生徒に委ね続けてきた結果、ペーパーテストという意味の「学力」がどうなったかについて自分の場合を書いてみよう。
多くの先達と同じように…
まあ、研究をするつもりで厳密なデータを取ったわけではないので、あくまで一例の傾向としてしか話せないのだけど、この回りの授業は生徒に学び方を委ねた、いわゆるアクティブ・ラーニング型の授業しかほぼしていない。
勤務校は入試の結果が生徒募集に直接影響する世知辛いところでありますので、ペーパーテストの学力について無視するわけにもいかず、定期的に点検する必要があるのです。まあ、それに付随して、授業アンケートなどを通じて学習時間の変化なども追っかけているのですが、それらの結果を簡単に紹介しよう。
結論から言えば、「ペーパーテストの学力はほぼ変化しない」が「生徒の学習への意欲は高く、自宅の学習時間は増加傾向にある」と言える。
これは別に自分が初めて発見したことでもなく、アクティブ・ラーニング型の授業を昔からされている学校でも同じようなことが言われている場合が多い。手探りの中で行ってきた授業ではあるけど、ペーパーテストの学力でも著しく劣ることがないのは、ひとまずよかった。
ペーパーテストの学力は
もう少し細かい説明をするならば、ペーパーテストの学力については、平均点は変わらないものの標準偏差については小さくなる傾向にある。つまり、点数のばらつきが小さくなっていると言えそうではある。
どうして点数のばらつきが小さくなっているのかについて説明する方法は持たないのだけど、感覚的には下位の底上げが大きい印象である。特に「無答率」については、かなり低くなっている印象がある(数字的には数パーセントなので有意に差があるかは分からない)。
普段から授業の中で必然的に書く量が増えているということもあって、「とりあえず埋める」ということはやるようになっているのかもしれない。
しかし、裏を返すと「書いている」割には大して正答率は上がらない。書いていることの質が悪いのか、ペーパーテストを解くということには別に指導が必要なのか、その辺りははっきりとはしない。
ただ、教えていないことはできない。ペーパーテストの学力をもっときちんと結果として伸ばしたいならば、授業の時間でもっと問題演習型のアクティブ・ラーニング型の授業をやればいいのだろうと思う。ある意味で、まったく問題の解き方を教えないで数字としては変化していないので、生徒が自分で色々と頑張っているということだろう。もしくは今までも生徒はろくにペーパーテストの学力は教員の授業を当てにしていないのかも(笑)。
意欲は果たして上がっているのか?
データとして勉強時間はあきらかに他の学年と比べて増加している。そして授業アンケートでの傾向としても「楽しい」ということについては評価は高くなる。
ただ、一方で一斉授業をやっているときよりも「課題のレベルが自分にあっている」だとか「授業についていけている」という項目に対しての肯定的な回答の割合が下がっている。課題の設定の仕方が悪いのは自分の責任ではあるのだけど、「授業についていけている」という感覚が悪いのは意外だ。授業の様子だとよほどアクティブ・ラーニング型の授業の方が楽しそうにしているけど、授業で色々と悩んでいるのだなぁ……。課題のレベルを下げてはいけないだろうし、どうなんだろう?そして、一斉授業ではそういう「ついていけているかどうか」ということを、こちらの話芸で誤魔化せてしまうこともあるんだろうなぁと感じる。
授業外の勉強時間が授業の質を高めることは、溝上慎一先生も『ディープ・アクティブラーニング』の中で紹介している。
勉強したくなるデザインを丁寧にしないとなぁ…と思う。