ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

ALの評価はどうしたものですかね…

No More Breaks

とりとめのないつぶやき。

「深い学び」について考える必要があるので色々と考えているのですが、結果的にどうしても「評価」の問題に突き当たる。

丁寧に色々と論立てていくには、今は時間がないのだけど思いついたことを書いておかないと忘れるので、とりとめのないつぶやきがてら書いておこう。

診断的評価や総括的評価ばかりしていないか

「評価」論を細かく論じだすと平日のブログで書くには手に余るので深入りしないけれども、「診断的評価」「形成的評価」「総括的評価」くらいは分けて考えよう。

どうしても学校で多く行いがちなのが「診断的評価」と「総括的評価」ばかりで、学ぶ過程で生徒を伸ばすために行われる「形成的評価」が手薄になる。意地の悪い言い方をするのであれば、生徒をevaluationの文字通り 「値踏み」するものばかりになりがちだ。

冷静に考えて「〇〇やる以前の問題だよね」と言ってみたり「教えたくせに〇〇もできないのか」と言ったりと、教員は値踏みしかしてないんじゃ…。

まあ、それはともかくとして「値踏み」の評価ばかりしがちであって、評価が生徒のための評価になっていない。

これは

ようこそ,一人ひとりをいかす教室へ: 「違い」を力に変える学び方・教え方

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の中で「この授業は子どもをどのようにいかすか」という発想で授業改善をしていくことの重要性を説いていたことからすると正反対の方向へ走ってしまっている。

「評価」をどう学習に組み込むのかということを考えるだけでも、授業観が試されているような気がします。「授業」の形や作り方はアクティブ・ラーニング型の授業になっていても、「評価」の部分にまで気が回らないで、授業者の方の都合で行われる「値踏み」の評価ばかりしていたのでは、羊頭狗肉というものだろう。

個人的な評価に対する発想

根拠も何もなく個人的に思うのは

といったことです。

つまり、評価論や評価を学習や授業に組み込むための理論的な背景はかなり複雑なものがあるのだけど、運用面や教員の掛けられる労力を考えていくと、できるだけシンプルで分かりやすいものであるべきだとは思う。それと併せて教員が「見取る」という行為がどういうことなのか、何を見ているのかということをもう少しに明らかにする必要を感じつつも、一方でその教室ごとに生じている学びに参加している主体の一人として「見取る」ことができるものを積極的に評価に組み込んでいくべきなのではないかとも感じている。

しかし、果たしてそういうことを言い出すと均質な質を保障できるのか、教員の経験や指導力の差をどうすればいいのかとなってしまうのだけど、ただ、最近の気分としては再現性のある授業や説明ってできるのかなぁ…とよく分からなくなっている。再現性がないならそもそも実践研究ってなんだよ(笑)。

気分として、子どもが置かれている各固有の文脈をもった教室でしかできないことを活かすのであれば、究極的に平準化された評価の仕方を示すことは出来ない気もするんだが……。発想的にはやはりPBL。そうなるとどちらかと言えば、教員の評価よりも子ども自身の自己評価とその説明、そしてその妥当性を検証してフィードバックするのが教員の役割……いや、教員はむしろ子ども自身が自己評価をするために、自己評価の方法を指導する役割を担って、評価はそれこそ教員ではなく学校の外側に求めるのがPBLの評価委員会のあり方だし……うーん。

そんなわけで、最近、比較的、注目を集めているルーブリックについてもイマイチ共感できない。良し悪しというより共感できない。

技術的な面をいうなら、ただのチェックリストに化している場合が多くて、チェックリストを生徒に押し付ける弊害の方が大きい感覚はぬぐえない。厳密にルーブリックを作ろうとしたら、その手間は非常に大きいものがあるので、はたして教員にその時間的な余裕があるのか……そうやって手間をかけて作ったルーブリックであっても「客観的」と呼べる品物なのか、掬い上げられない生徒の作品の質はどうしたらいいのか、そもそもルーブリックという評価の仕方自体が学校の外で行われない評価の仕方で不自然な感じが拭えないし……うーん。

とりとめもなく、オチもなく

基礎・基本を定着させることと探究的な学びをすることと両立しなければいけない。そうなると、生徒の学齢によって基礎基本の程度と探究の程度は変わるのだろうけど、場合によって評価を使い分けるというのも腑に落ちない感じはある。

ま、そもそも「評価」をどうするかが授業の組み立てに深く影響しそうだけに、単純化しては結論出せそうもないなぁ。

参考文献になりそうなもの

教員が簡単に読めるものとしては

新しい教育評価入門 -- 人を育てる評価のために (有斐閣コンパクト)

新しい教育評価入門 -- 人を育てる評価のために (有斐閣コンパクト)

 
教育評価 (岩波テキストブックス)

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このあたりから始めると、読むべき参考文献にたどり着ける。

 ディープ・アクティブ・ラーニングの松下佳代先生も書いていて

パフォーマンス評価―子どもの思考と表現を評価する (日本標準ブックレット)

パフォーマンス評価―子どもの思考と表現を評価する (日本標準ブックレット)

 

はブックレットなので手軽に読めるので目を通してもよいかも。

の中にはコンピテンシーベースへの転換を述べつつ、評価論も書かれているので授業との連動して評価を考えるにも良い気はする。

最近、よく聞かれる「逆向き設計」という発想については

理解をもたらすカリキュラム設計―「逆向き設計」の理論と方法

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が本家本元ではありますが、もう少し実践に寄せて理解するなら

「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価 アクティブ・ラーニングをどう充実させるか

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パフォーマンス評価で生徒の「資質・能力」を育てる―学ぶ力を育てる新たな授業とカリキュラム

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「逆向き設計」で確かな学力を保障する

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が分かりやすい。

教育評価の本質を問う 一枚ポートフォリオ評価OPPA

教育評価の本質を問う 一枚ポートフォリオ評価OPPA

 

国語だとあまりまだ例を見ませんが、理科の方だとOPPAを聞くので、こういうところもヒントになるのかな。

また、年内の雑誌だと

教育科学 国語教育 2017年 03月号

教育科学 国語教育 2017年 03月号

 

が評価論なので、巻頭言の山本隆春先生、石井英真先生の話はかなり分かりやすく、「一人ひとりを生かすための評価」のことや「学習としての評価」についての話が読める。

まあ、今、手元にあるものを簡単に挙げてみただけですので、忘れているものも多そうです。いいものがあれば教えてくださいませ。

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