ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

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小論文とルーブリック

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色々な文章(非連続テキストを含む)を大量に読むという方向で授業を現在やっているクラスがありますが、定期的に小論文で理解度を確認しつつ受験に備えながらも本質を考えるようにする授業を行っています。

まあ、随分、いいとこどりした言い方をしましたが、だいたい狙いとしてはこんな感じで七転八倒しています。

こういう形を考えて授業したときに問題なのが、いかにフィードバックするか、評価するかということなのです。生徒の方は点数を気にしたい時期ではあるけど、授業している側からすれば上手く行かなくて当然という気持ちもあり、何とか生徒に作品と評価を結び付けてもらい、自分の学び方を鍛えて欲しいなぁと思っている。

そうなったときに気になってくるのが「ルーブリック」なのですよね……。

チェックリストではないよね

色々と酷いルーブリックの話を聞いて絶賛混乱中である。

www.s-locarno.com

一番大切なことは、ルーブリックはチェックリストではないということだと思う。それぞれの観点をバラバラの要素として見て、それぞれの足し算で何かパフォーマンスが出来上がるという捉え方は望ましくないだろうと思う。

そうなってしまうと授業の活動が、パフォーマンス評価を用いなくてもよい、単純なドリルに過ぎないものになりかねないだろう。例えば、ルーブリックが「対比を用いて記述している」のような記述語になってしまうと、全員が機械的に対比を書くようなことにもなりかねないわけだが、そういう使い方をするものではないだろう。

最近、10項目×5段階のような物凄く細かいルーブリックを目にすることもあるが……そんなルーブリックで、なおかつ具体的な行動が記述されたようなものでは、生徒はよい評価を取ろうとしたら、もう「こうやってやれ」と命令されているのと大差がないのではないか。

まあ…チェックリストなら、チェックリストとして示したほうが明快だと思うし、ルーブリックなら、もう少し抽象度の高い目標を示せるのではないかと思うのだが……。

とりあえず、自分が作ってみる

色々と思うところがあるのだけど、自分がルーブリックやパフォーマンス評価の経験値が少ない。だから、感覚的にしかものを言えない状況である。

だから、もう少し、自分がルーブリックづくりを地道に積み重ねてみようと思っているのである。

長期ルーブリックについては、正直、まだ高校三年間なり一年間なりを見通すほどの蓄積が自分にないので、もう少しあとになる。しばらく特定課題ルーブリックを作ることを続けてみようかと思っている。

ルーブリックの作り方は色々あるが、分かりやすいのが西岡加名恵先生の本で紹介されているものだ。

パフォーマンス評価で生徒の「資質・能力」を育てる―学ぶ力を育てる新たな授業とカリキュラム

パフォーマンス評価で生徒の「資質・能力」を育てる―学ぶ力を育てる新たな授業とカリキュラム

  • 作者: 西岡加名恵,永井正人,前野正博,田中容子,京都府立園部高等学校・附属中学校
  • 出版社/メーカー: 学事出版
  • 発売日: 2017/02/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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教科と総合学習のカリキュラム設計: パフォーマンス評価をどう活かすか

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「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価 アクティブ・ラーニングをどう充実させるか

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また、以下のサイトにも同じ説明があるので参照されたし。

e-forum.educ.kyoto-u.ac.jp

これらの内容を簡単にまとめると以下のような手順となる。

  1. 課題を実施し、学習者の作品を集める。
  2. 作成ルーブリックを「観点別」か「全体的」かを決める。
  3. パッとみた印象で、段階別に(5段階~3段階程度)で採点する。
  4. 同じレベルの作品を集めて、それぞれのレベルにどのような特徴がみられるか考えたり話し合ったりしながら、それぞれの記述語を作る。
  5. 最初の段階で評価に迷った、評価が分かれた作品を再評価する。判断を迷う作品も評価できるようにルーブリックの記述語も再検討する。
  6. 必要に応じて、観点を分けて観点別ルーブリックを作る。
(上述の参考文献を参照に、筆者が簡略化して書きなおしている)

幸い、国語の授業をしていると小論文を書く機会は多いので、異なるタイプの作品を集める機会は多い。

そうして集めた作品について、様々なルーブリックを作ることができるので、ちょっと面倒ではあるけど、いちいちルーブリックを作ってみる。

まずは自分の中の経験値を溜めるのである。

さて…作ってみて

ルーブリックづくりは面倒に見えるが、手間や精神的な疲労感で言えば、手書きでコメント入れるよりも100倍マシに感じるのである。

まあ……なかなか記述語をどうするかということが慣れないと、不自然で外側から持ってきたようなとってつけたものを書いてしまいがちなのだけど。

ルーブリックを作ってみて思うのが、生徒の作品の見方が少し変わるということである。個別に添削をしていると微に入り細を穿つような朱入れの仕方になってしまいがちで、作品全体としてどんな意味があるのか、どんな味のある作品なのかということをきちんと自分自身が見えていなかった気がする。

しかし、ルーブリックによって、もう少し広い視野で生徒の作品を見取ることによって、力を入れて伝えるべき観点や今は見逃していてもいい観点のメリハリが自覚的にできる気がする。

まあ、朱が多いほど面倒見がよい……みたいに思われる部分もあるので、なかなか朱を減らすのは勇気がいるところだけど、効果があまりないと言われるしねぇ……。

ルーブリックを作ったものの、生徒に今のところ提示して使うという使い方はしていない。まだ、自分の中で練り切れていないということと、提示することでどういう影響を生徒に与え、何を達成させたいのかという道筋に自信がない。

たぶん、ルーブリックを示せば、自分の作品の修正を、要素というより総合的な観点から見てくれそうな気がする。ただ、まあ……もう少し研究だな。

むしろ、今の自分の生徒たちならば、自分たちの作品でルーブリック作らせてみてもいいんじゃないかとも思う。自分たちが言語化できていない、「よさ」を生徒同士の検証を通じて言語化していく過程で、自分たちの技や身につけていることを自覚できる……のか?

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