新学習指導要領の「大学入学共通テスト」の試作問題が公表になりましたね。
まだ、ちゃんと解いたわけではなく、ざっと眺めた感想を書いて置きます。詳細な分析と感想は気が向いたらいずれ(あまりやる気が無い)。
前提的な資料として
問題だけではなく、「国語」の問題作成方針に関する検討の方向性なども紹介しておきます。
(「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テストの問題作成方針に関する検討の方向性について」より。2022/11/09 20:36確認)
(「「国語」の問題作成方針に関する検討の方向性 」より。2022/11/09 20:38確認)
方向性としてきちんと「新学習指導要領」と「その教科書」の内容をちゃんと踏まえてテストを作るよ!という話が紹介されている。
国語に関して言えば「多様な文章」「言語活動の重視」「情報」などがキーワードとなるかな。
現場の感想として
今年、ここまで高1の授業をやってきた自分の感触としては、「教科書」で設定されている言語活動をちゃんとやっているか試すような問題にはなっていると感じる。
この問題だけ見て「こんな問題ありえない」と騒いでいるのは、現状の高校の教科書をあまりよく知らない人の意見だろうと思う。全うに高校での学習で評価をしようとするのであれば、「現代の国語」の分野に関わる問題については、こういう方向性になるのは当然だろうと思う。
もちろん、そのことと「これが入試問題として適切なのかどうか」という議論は、パラレルであるので、そういう観点からの議論はありえる。ただ、きちんと教科書の方向性を押さえて、探究的な授業をやろうとしているのであれば、こういう方向性の出題になることは納得できるのではないかと思う。
逆に、こういう出題が全くなく、従来と同じような傍線部についての一問一答的な現代文の問題を出題されてしまうとしたら、教科書を真面目に取り扱い、時間をかけて準備をして言語活動を生徒が取り組む意味が全く無くなってしまう。
共通テストの試作問題以来、国語科の共通テストの問題がこういう方向性になるということは、強く主張されてきているわけで、「強く反対を主張されても、原則として時計の針は戻さない」という強いメッセージ性は出ているだろうと思う。
まあ…この問題が入試問題として適切か、出題として無理がないかは、まだしっかりと問題を解いていないからなんとも言えない。
ただ、こういう問題をしっかりと落ち着いて出来るようになるためには、普段からかなり粘り強く文章を読んだり書いたりしていないと厳しいと思う。
国語の授業をやっていない外側から「なんだ、こんな見れば分かるような低レベルなことをやらせて」と平気で言われるのだけど、実際の生徒の言語生活の様子を見ていると、こういうことはちゃんと授業で訓練しなければ難しい。偏差値的な話だけではなく、「教えられた上で自分たちで実際にやってみる」経験がないと出来るようになること、意味を理解することが難しい類いの内容である。
言語を使って実際に表現してみないと「低レベルなこと」と言われたって、自然と習得されるものではないのだから、責任をもって授業で「やってみる」ことが大切である。
情報量が多い
これだけ多様な資料を組み合わせて活用するような言語活動を実現するには、もはやICTは避けて通れないツールである。
紙で印刷して同じようなことをしようとしたら、印刷だけでウンザリしてしまうし、印刷されたものを渡されても生徒にとっては加工がしにくいため、決して効率的な学びにはならない。
「現代の国語」の標準単位数は2単位、つまり週2時間である。その短い時間で「多種多様」な「読み書き」を実現するのにICTは避けて通れない。
渋々と上意下達で使わされている……という捉え方では授業で共通テストの求める水準の「読み書き」までたどり着かないだろうな、とぼんやりと思う。