ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

その場しのぎでは困るけど

こんなニュースが話題になっていた。

www.kyobun.co.jp

通知そのものは見当たらなかったので、また後ほど確認しないとなぁと思いつつ、このニュースに対しては厳しい反応が多いようである。

まあ、見え方としては「その場しのぎ」「問題の先送り」という感じを受けるし、抜本的に学校を良くしようとしている感じを受けないので、厳しい言い方も多くなるのだろうなぁと思う。

「教員不足の中、教職大学院には、学生が学びを深めると同時に、学校現場の戦力になることも考えてほしい。教職大学院の学生は教員への就職率が高いので、教育委員会にとっても教職大学院との連携は将来の優秀な人材の確保につながることが期待される」(総合教育政策局教育人材政策課)と話している。

https://www.kyobun.co.jp/news/20230630_06/より。2023/07/01確認)

なんで教職大学院と学生が「学校現場の戦力になることも考え」なきゃならんのだよと言葉尻ではあるけど、そこから見える根性に自分も割とイラッとする。

無理矢理に労働力にされるのでないのであれば

自分は教育学研究科の、教職大学院ではないストレートマスターだった訳だけど、仮に自分が教職大学院の立場でこの文科省のコメントを見たら、たとえ既に現場での実習や非常勤の勤務をしていたとしても、怒り狂っただろうと思う。現場と学生と教職大学院が怠けている、必死になっていないかのような物言いをされて「はい、そうですね、こんな制度を作ってくれてありがとうございます。」とはなりませんよね。

ただ、記事から読み取れることについて見ていくと、それなりに合理的に考えられそうな面もあるかとは思う。

文科省によると、こうした教職大学院と教委との連携は、すでに一部で実施されており、教職大学院の学生が非常勤講師として教壇に立つケースがある一方、教職大学院での学びを教委の活動と切り分けて運用しているケースもあり、改善の余地がある教職大学院は多いという。

https://www.kyobun.co.jp/news/20230630_06/より。2023/07/01確認)

学費の負担や採用に対する憂いなど、上手く教職大学院と教委が連携することで学生にとってのキャリアの見通しが良くなることは十分に考えられるし、ミスマッチを避けた採用ができれば初任で教職を離れてしまうような、そういう非常に不合理な状況を減らせる可能性はあるだろう。

現職の教員が休職して大学院で学んでいる場合は、貯金は一方的に減っていくだけであることを考えると、制度的に謝礼をもらいながら実習も出来るようになるというならば、助かる人もいるかもしれない。

ただ、イマイチに信頼ならないのが、「戦力の確保」「優秀な人材の確保」など、大学院での学び云々ではなくて、とにかく空いた穴を埋めようという腹が透けて見える言葉が不用意に、平気に何度も飛び出していることなのだよな。

人の幸福や働きやすさ、学びやすさのためというよりも、その場しのぎという印象を強く感じさせられる。

教職大学院に思うこと

自分は教職大学院ではないので、基本的には現場での実習は学位を取るときに求められていない。その代わりに修士論文を書くために、二年間は苦闘したわけだ。だから、実習によって実践力と高度な知識を身につけるということについては、あまり想像力は無い。

教育学研究科なので周囲の院生の中には、自分の研究の実証として現場を探してきて、実際に授業と検証を行っている方もいるので、現場と連携しながら何かをすることがけっこう難しいということも何となく見聞きしている。

だから、現場と院生のミスマッチを減らし、今の制度の不合理な点が整理されるような仕組みが出来てくるのであれば、それは歓迎したい。

でも、院生を現場の戦力にカウントして、実習と称して労働させるような仕組みになるのであれば、教職大学院の価値はもう見出すことは難しいのではないかと思う。

教育学研究科の院生だった自分の経験から振り返るのであれば、実践から、現場から少し離れたところから院生が実践を理解していく、理論を学んでいく、そういうことで磨かれる専門性はその後の実践者の武器になっていくのではないかと思う(というか、思いたい)。

教職大学院の学びによって、実践力という強い武器を持っている先生も大勢知っている。現場へ還元されている知識や技能も数多くあるということも理解している。

だからといって、現場とべったりとなってしまうのは何か、役割が違うのだろうなと思う。

もし、教職大学院がただの労働実習期間になってしまったら、次は学部四年生がアルバイトさせられるようになるのでしょうね。

Copyright © 2023 ならずものになろう All rights reserved.