卒業式のシーズン。
多くの生徒は卒業式のときに嬉しそうな表情で旅立っていく。
教育の結果は必ずなにか残っているのだろうと思う。だからといって、自分の教育成果を誇るようなことをいうのは恩着せがましい。
一人ひとりが自分で大きくなったのだ。
たまたま同じときに同じ空間を共有していたから学ぶことがあって、そうしてまた自分で理解を深めていき……。
教育によって何が残るのか、教育によって何ができるようになるのか。
一人ひとりの生徒の中に、授業の記憶ばかり残っていて、変化や成長がないのでは困ってしまう。むしろ、授業のことなんて何一つ覚えていなくて良いので、自分で自分のことを表現できるような、伝えられるような、そういう力を身に着けてくれればいいのだ。
いつまでも教員が姿を見せるような別れの仕方は好みではない。一度、送り出したら、自然とフェードアウトしていけばいいと思っている。
教員である自分は預かっていた生徒を次の場所に送り届けるだけ。
いつまでも彼らの先生であろうとは思わない。自分たちで自分たちのことを決めていけばよいのだ。