シルバーウィークが明けたら短歌の授業を行おうかと思っているのですが、なかなかアイデアが煮詰まりません。
いくつか面白い本を見つけたので、その紹介がてら、今考えていることを書いておこうと思います。
実は一度挫折している短歌の授業構想
面白い形で短歌ができないかなぁということは、周期的に考えているのですが、なかなか今までのところ、うまくいったという感触を持てたことがありません。
かつて、あすこま先生のブログで紹介されていた短歌の授業の方法に刺激を受けて、東直子さんの『短歌の不思議』なども読んだりしました。
これらを参考にして、一応、授業の構成を考えて、個人的にはいいところまでアイデアは煮詰まったのだけれども、あと一息のところで、どうも自分の教えている生徒の知識の幅や関心の持ち方を考えてみたら、ぴったりといい学びになるイメージが抱けなかった。それに、自分自身に短歌の経験値が多いわけではないので、生徒とのやりとりで何かを深められるような自信がなかった。
うーん……こうやって書き出してみると、自分が勉強不足のために生徒に教えられなかったことに忸怩たる思いが…。
少し難易度を下げてみる
穴埋め短歌は面白いし、色々な可能性を感じるのだけれども、自分自身の能力では扱いきれないと感じている。
だから、もう少し丁寧に初歩から短歌を自分自身が勉強したり、生徒にも気軽に触れられる方法はないかなぁと思ってネタを探していたところ、なかなかいい本を発見。
安心のクオリティの岩波ジュニア新書。この本に限らず『創作力トレーニング 』など岩波ジュニア新書の日本語の書籍はクオリティが高い(その分、中高生が読むにはハードルが高くないか?という疑問はあるが)。
今回のこの本も、気軽に短歌の創作の方法を教えてくれている。
まず、実際に短歌を作るための入門編として「標語を活用してみよう」という形で、五・七のリズムで作られている標語に句をつけたして、短歌にしてみることを提案している。
たとえば
飛び出すな車は急に止まれない
というおなじみの標語があるけど、これを上の句として七・七を足して、短歌を作ってみようというのである。
このブログをお読みの方はどのように作るでしょうか。
ちなみに自分は「飛び出すな車は急に止まれない行きも帰りも前も後ろも」「飛び出すな車は急に止まれない「ヨーイドン」と押せ押せ車」とか考えましたが……我ながら上手くない(笑)
ちなみ、本書の中では「飛び出すな車は急に止まれない止まれないんだ車は急に」と歌人のさりげないセンスを見せつける作例を出しています(笑)
他にも「捨てる勇気を持つ」ことや「オノマトペを生かす」ということや「母音と子音の個性」ということなどを紹介しており、定型のよさや言葉の響きにこだわることの面白さがよくわかる本であり、授業にも組み込めるような内容になっているなぁと感じる。
また、この本の構成の妙は、「標語」を用いて定型のよさを感じさせる点から始めて、最後に本歌取りの楽しさを伝えて、短歌・和歌の伝統のよさまで説明してくれているのも、国語の先生的にポイントが高い。
短歌のよさは創作をしてこそ…かな
東直子さんの本を手に取ったのも、栗木京子さんのこの本を手に取ったのも、きっと自分が短歌のよさは創作することにあると感じているからなんじゃないかなぁと思う。
生徒にとっては、短歌にこだわらなくても様々なメディアに楽しみを持っているし、文字よりはむしろ視覚的な情報に興味を惹かれやすいよなぁと思う。そんな生徒にとっては短歌から情報を読み解いてわざわざ考えるということから授業を始めようというのは結構無理があるじゃないかと感じている。
それよりは、三十一文字という定型の持つ力を活かして、創作の楽しみや自分の想像力をたくましくする経験を持たせてあげたいなぁと感じている。
Twitterで大喜利している様子などを見ると、別に短い形式で上手いことをいってやろうということの面白さは伝わりそうだし(笑)
また、栗木さんの本の最後には「歌合」をやってみようと、実際の歌合の流れをシミュレーションしてくれているので、それをネタにして授業で「歌合」のようなことができないかなぁと思っている。
実際に歌を作って相互に批評し合うような授業の方法としては、以下の本に「短歌甲子園」形式で創作と相互批評の実践例が載っている。

高等学校国語科 授業実践報告集 現代文編II: 評論・取り組み編
- 作者: 全国高等学校国語教育研究連合会,明治書院
- 出版社/メーカー: 明治書院
- 発売日: 2014/10/24
- メディア: 単行本
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この本の実践例は先生が短歌に造詣が深いようなので、まだまだ自分にはハードルが高いなぁとは思うが、それでも創作をやらせてみたいかなぁ。
模倣で創作を学べるかも?
自分の知り合いの先生が、「模倣」を授業に取り入れることで様々に書くことの可能性を引き出す実践を行っていたことを思い出している。
たとえば、短歌について言えば、栗木さんの本でも紹介されている橘曙覧の「独楽吟」(「たのしみは……の時」の形で詠まれた一連の短歌)の形を模倣させたり、有名な短歌を「本歌取り」するような形で模倣させたりすることで、短歌の創作に親しませていた。
これも一つの方法だよなぁと思いつつも、どんどん扱う時間が増えていって結局、やりたいことが拡散しそう(笑)
まあ、もう少し考えようと思いますが、面白い短歌の授業の方法があればご紹介ください。