今学期の授業もほぼ終了しました。リーディング・ワークショップもこれで終了です。
今年は生徒にスマホを使わせるのもだいぶ慣れたので授業アンケートをGoogleフォームを使ってアンケートを取りました。
使い方の解説は面倒なんで(笑)、丁寧に解説されている方のブログのリンクを張ります。まなびと (id:usagix4) さん、勝手にごめんなさい。
今回は、そのアンケート結果(100名程度)について、少しだけ紹介します。
高校でのリーディング・ワークショップの実践例は決して多くないので、さすがに一部しか公開は出来ませんが、参考にしていただければと思います。
なお、このアンケートは色々な都合があって記名式です。ですから、リアクションとしては本音が出ているとは思わないし、私に対して優しめだと思います。
リーディング・ワークショップへの反応
色々なことを生徒に尋ねていますが、単純な択一式のアンケートのうち、リーディング・ワークショップをやろうとしている人が気になりそうな内容について一部紹介します。
リーディング・ワークショップをやっていくときに、意外と難しい……というか、当たり前に難しいミニ・レッスンについて、聞いてみました。
自分としてはかなりグダグダだったので……これは生徒のリアクションが優しい。ミニ・レッスンとしては
わかったつもり?読解力がつかない本当の原因? (光文社新書)
などをネタ本として使いました。
生徒のコメントしては
- 理屈としては分かっても、文面と説明だけでは吸収しづらい。その場で少し実践できる(それに適したサンプル文などを用いて)ようにして欲しい。
- 自分の、読んでる本に対する考え方が整理されて良いと思った。
- 本は最初から読み、飛ばさないで読むものだと思っていたけれど、途中から読んでもいいし、飛ばし読みもしていいと知って驚いた。
- 本を読む時に読書家としての技巧を意識することは普段の読書ではなかなか無いので、ただ読み続けるのではなくより上手く読み解くための方法が聞けてよかったです。最近は習ったことを意識して読めています。意識しすぎてから回っている気もしますが
- 図書館の番号は知らなかったので印象に残りました。
- 本の読み方を考えたことがなかったが、ミニレッスンで知ることができ、少し読み方を変えることができた。
などがありました。まあ、上には紹介してませんが、生徒のニーズに合わせたミニ・レッスンを考えた節はあるので、逆にニーズを外れた生徒にはウケが悪かったり……難しいものです。
これは「そう思わない」というのが出たのが、ミニ・レッスンとの差。
やっぱり自分の技術に問題はあると思う。手探りなんだよなぁ……。そもそもが口下手というか話すのが苦手なわけで。生徒との距離感やプライバシーの問題も悩ましい。
生徒のコメントは
- 自分が読んでいる物語の作者についてだとかを教えてくれたりしてその人の書いた他の本にも興味がわきました。
- なにがあれでよくなるのかが知りたかった
- 自分にあった本かわからない時などにいろいろアドバイスをくれて安心した。
- 質問されることで、なぜそれを選んだのかが明確になった気がした。自分の選ぶジャンルに偏りがあることもわかった
- 自分の読んでいる本を選んだ経緯などを説明することで自分の中で再確認できたのでよかったと思います。「この本を読んでいるならあの本も読んでみるといいよ」などアドバイスを頂けたこともよかったです。
- 友達が自分の読んでいる本を読んでないと本の共有ができなくてつまらないためカンファレンスはいいと思った!
- 選んだ理由などは、自分でわかっているので、先生に話す理由がいまいちわからなかった。
- あまり自分の興味があるのものは友達にとって興味があるものではないことが多いので、先生はちゃんと聞いてくれるから話す機会があってよかったと思う。
- ただ読み進めるだけでなく、なんでこの本を選んだのかということを聞いてもらうことで、さらに物語や小説に入り込めた気がする。
カンファランスについては詳しく書いてほしいといっているので、もっとたくさんありますが、一部。
やっぱりカンファランスについては場数をこなして上手くなっていかないとダメかなと思います。話しかけ方だとか生徒のコメントの引き出し方とかね。
キーワードとしては「よく聞いてくれる」「安心できた」「話しているうちに自分で再認識」「関連図書の紹介」などか生徒にとっては重要な感じである。これって実はReading zoneなどの書籍でやっぱり大切だと書いてあることなんだよね、やっぱり。以前にもブログに書いているけど、本当、先達者の言葉は偉大です…。
本の共有についても聞いてみたけど、ここは結構回答が辛い。
自分の交流のさせ方が、生徒の自主性というか話したくないことは話したくないという気持ちを優先してしまい、時間だけ確保して特にやり方の指示をしなかったのも失敗だったかと思う。普段から交流は授業でしていたのでいけるかなぁ…と思ったけど、甘かったです。
カンファランスで教員と本のことを話せて楽しいという回答が比較的多いのに対して、生徒同士の会話はあまり盛り上がらないというのは、やっぱり指導不足です。どうやって共有の時間を持てばよいかということについての見通しが甘かったなぁ。
特に、比較的、読書が苦手な生徒の否定的回答が目立つので、やはり指導の問題だと思う。
自分の中で結論の出ていないことを下手にやらせるとあかんということですな…。
これは生徒の実態調査という意味で聞いてみました。前提として来年度は学校の状況からして、リーディング・ワークショップを行うことは難しいということを伝えたうえで、「仮にやるとしたらどう思う?」という形で尋ねています。
やはり1割を超えるくらいの生徒はリーディング・ワークショップを受験学年でやることについては否定的です。リーディング・ワークショップへの満足度と相関しないので、かなり受験というファクターが難しい影響の与え方をしているのだと感じます。
読書の経験を丁寧に育てて、継続的な読書ができるようになってほしいな…と本当に心から思います。受験という現実と読書……どういうスタンスを自分がとればいいんだろう。
以上は全体の一部です
他にもいくつアンケートを取りましたし、生徒の回答ももっとあるのですが、憚られるので紹介は以上としておきます。
量的な成果……たとえば、成績が向上するだとか、そういうデータは示せない。(図書館の貸出数はこの後、図書館で聞いてみるつもりですけど)
だからこそ、生徒の声をきちんと聴いて、質的にどんなよさを生徒に提供できているのかということを説明しないといけないなぁ…と感じます。非常に苦しい。もどかしい。
本当、読書を教えるって難しい。
こんなコメントが生徒からあった。
少なくとも読書感想文とか無理矢理本を紹介させるアレよりこっちが全然良い、アレで本が嫌いになりかけた人も多分少なくない
要するに、中学校で「やらされてきた」ことである。非常にシビアな意見だと思う。
だってやっている教員は口をそろえて「あのときビブリオバトルをやったら図書館の貸出数が増えてよかった」とか「読書感想文書かせているから作文には慣れている」とか嬉々として職員室で話していますし。
彼らがそれをやったのは4年くらい前なのに。逆に言えば、4年前のことをこうして恨み言のように書いてくるのだから、与えたダメージや悪い印象は大きいわけです。
悲劇的に、教員と生徒の意識差がとてつもなく大きい。
リーディング・ワークショップだって気をつけないと、読書の時間の押し付けである。カンファランスだってプライバシーの侵害だし読書の邪魔。
本当、ふとした瞬間に、自分がやっていることがあまりに無責任すぎるのではないかと胸が苦しくなるんです。
そうして、自分がうっかり足をすべらしたことばかり思い出して悲しくなる。
もっとうまくやれたんじゃないかなぁ…今回も。また、頑張ろう。
意見交換してくれる方は募集します
今回のアンケートのデータについては、意見交換をしてくれる方にはプライバシーの処理をしたものをお見せしようかと思います。ぜひ、ご意見が欲しいのです。
リーディング・ワークショップの実践に興味ある方で、ご所属などの身分を教えていただき、Skypeなどでフィードバックをくださる方とお話ししたいと思います。近郊でしたら出向いても構わないですし。自分がもっとよい実践をするために。
ご興味ある方は当ブログのサイドバーの「問い合わせ」ページからご連絡ください。
余談だけど、どこかで発表できないかなぁと思うのだけど、適切なところが分かりません。学会に出すにはデータの集め方が雑だしなぁ……。実践発表会程度なら出せるかもしれないけど、いかんせん適切な場所が思いつかない。