ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

たまたま露見する

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最近、かなり革命的な一冊が出版されていることは知っていた。

最高の授業: スパイダー討論が教室を変える

最高の授業: スパイダー討論が教室を変える

 

スパイダー討論という方法が紹介されている一冊である。面白そうだなぁと思っていたけど、色々な理由があって自分はやっていなかったし、書評も寝かせていたのだけど、今日たまたま偶然やってみることになった。

その結果を少しだけ書いておこう。

そもそもスパイダー討論ってなに?

既に色々な記事が出ているので自分が繰り返すことはないので、記事を紹介しておこう。

11期生のサイエンス科での取り組みが『最高の授業:スパイダー討論が教室を変える』で紹介されました。 | かえつ有明中・高等学校

【書評】『最高の授業 スパイダー討論が教室を変える』がスゴイ。安定の吉田新一郎訳本! - やっちゃえ先生ブログ

PLC便り: 新刊案内『最高の授業』

簡単に強みとポイントを述べるのであれば、「議論の様子の可視化」である。

議論の様子が可視化されるからこそ、生徒たち自身が自分たちの議論の進め方について振り返り、少しずつ伸ばしていくことができるという仕組みである*1

生徒の討論の質を上げていくことを目指して、継続的に取り組むことができるのであればかなり効果的な方法なのだろうと感じる。

自分は取り組めないでいた

かなり良い方法だなぁと感じていたものの、実践で試すにはちょっと無理だなぁと思っていて保留していた。

というのも、自分の抱えているクラスは以下のような状況であり、スパイダー討論をやるにはベターな条件が整っているとは言い難かったからだ。

  • クラスの人数が30人程度とやや多い。授業者が一人である以上、二つにグループを割ることもできないし、30人でやるには50分の時間内の討論時間は短すぎる。
  • 各グループに観察者の生徒を立てる手もあるが、授業数が少ないので観察ではなく、議論の時間を優先してやりたい気持ちがある。
  • 授業数の残りが限られているので継続的な取り組みにはできない。
  • ルーブリックをきちんと練るべきであるが、自分にそのめどが立っていない。

などのようなことが気になっていて、実践をためらっていたのである。特に継続が難しいという点は、一番、望ましくない。

たまたま生徒が

今日の授業は前時の問いについて、生徒同士で交流をすることであった。生徒への指示としては「できるだけ多くの意見をできるだけ熱中して議論すること」というものだけで、どのような形で話すかは生徒に任せていた。

そうしたら、何を思ったのかクラスの半分が「円卓会議しようぜ」と言い出したのである。……なぜ、円卓会議なのか。アーサー王にでもはまったのか。

で、よくわからないうちに、それにノリノリに生徒たちがノッてしまい、なぜか10名程度の円卓会議が始まったのである。

……これまで、一度も円卓になって話すということは授業でやらなかったのだけど、なぜやろうと思ったのだろう……?

と、そんなこともあったので、そのうちの一つの班について、スパイダー討論をやってみるかーと試しに自分がこっそりと観察者になってみたのです。

今回は急遽たまたま円卓会議が始まったので、ルーブリックは示せませんでしたが、まあ、議論を客観視するだけでも面白いかなぁと思い、やってみました。

そうして露見する…

で、話し合いの過程を蜘蛛の巣で書いてみました。

傍観している分には、生徒が自分たちで司会を立てて順番に話合いを回していっていたので「なかなかやるなぁ…」と思ってみていたのですが、だんだんと蜘蛛の巣の糸が増えてくると……。

ちゃんと議論が出来ているように見えて、かなり発言としては生徒によって偏りがある。しかも、その偏りが極端な形で見えてくるのである。例えば、発言を邪魔する生徒はいないけれども、発言の多くを引き取ってしゃべらずにはいられない生徒、前後の流れを引き継げない生徒、発言が一方通行で相互にいかない生徒……意外といびつなのですね。

このような結果の一番の責任は授業者である自分にある。今まで一度もやらせていないので、大人数の討議は上手くできない。そして、今までの指導では発言の回数ややりとりの仕方の平等さについて明確な基準を示してこなかった。だから、そりゃあ、いきなり今日、徒手空拳に思い付きでやってみて上手くはやれないよねとは思う。

自分が討議形式の授業をしてこなかった理由としては、かなり指導が難しいということや全員でやるような討議の必要性がなかったということが大きい。でも、まあ…生徒ができないだろうなぁ…と及び腰になっていたのは自分の押し付けだったのかもしれない。

思ったよりは生徒たちは上手くやっていたし、生徒自身の自己評価ではよくやり取りできたという気持ちもあるようであった。だから、自分が思うよりもよほど成長しているのだと思う。しかし一方では上述の通り、議論に偏りが見えているし、相手を尊重するという点についてはもっと自覚しなければいけないこともあるのだろうと感じるような結果であった。

つまり、今までやらせてこなかったことが、非常にもったいないことをしてしまっていたのだなぁ…ということである。

どのタイミングで、何をやるか……それは決して簡単に決められるものではないけど、もっといろいろと精選していけば、マンネリに陥ることなくやれることはあったのかもしれない。

ちゃんと言語の表現の方法の豊かさをもっと色々と研究するべきですね。

そのためにも、自分がちゃんと表現することを日常で心がけなければならないのでしょうね。

*1:本当はルーブリックなども効果的に使われることが重要であり、もう少し色々と条件は整える必要がある。

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