本日は振替休日でゆるーく身体のメンテナンス。
こういう時にAmazon Prime Readingはかなり便利。今日読んでいたのはこれ。
ロジカル・プレゼンテーション ― 自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」
- 作者: 高田貴久
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: Kindle版
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学校にいると何か企画を通すようなプレゼンをすることなんて殆どないのですが、こういうスキルも身につけておくべきだよなぁ(言語活動的な意味で)と、常々思っている。
授業ができるからといって、聴衆を納得して話を聞いてくれるようなプレゼンができるのではないのだ。授業における生徒はとても友好的で善意を持った聴衆なのだ。別に自分のスキルが高いのではない。
話す内容を作るための本
この本の出版元は英治出版です。そう知る人ぞ知る、優良出版社の英治出版社です。
例えば、有名どころとしては、今大ヒットしている
Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ
- 作者: アーリック・ボーザー,月谷真紀
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/07/19
- メディア: 単行本
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や
ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
- 作者: フレデリック・ラルー,嘉村賢州
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2018/01/24
- メディア: Kindle版
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さらに
学習する学校――子ども・教員・親・地域で未来の学びを創造する
- 作者: ピーター M センゲ,ネルダキャンブロン=マッケイブ,ティモシールカス,ブライアンスミス,ジャニスダットン,アートクライナー,リヒテルズ直子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2014/01/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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などなど、もう名前を聞くだけで「ああ!」と思うようなよい本を翻訳・出版していると分かっていただけると思います。
この『ロジカル・プレゼンテーション』についても、ジョブズの物まねをさせるようなテクニックを書いているのでもなく、スライドの色はどれがいいというような中身の伴わない見せ方のテクニックを書いているのでもない、なかなかに骨太な一冊なのです。
いま流行になっている「問題解決」「分析」「プレゼンテーション」などの切り口でまとめなかったのは、 「論理的に考え、問題が解決できても、それを相手にうまく伝えられなければ意味がない」 「プレゼンテーションがうまくできても、話す中身がなければ意味がない」 という現実を痛感しているからである。
「はじめに」にこのように書いてある通り、本書はかなり踏み込んで「どのように話す中身を深めるか」「相手に伝わるためには何が必要か」などを解説している。
授業づくりにどう活かせるかな
さて、こういう「能力」って学校だとどの教科が担うのでしょうね。言語の活用と考えれば、国語科もちゃんと取り組んでいい課題だと思うのです。最近、巷を賑わせている「論理国語」だとか「実用的な」だとかそういう文脈にぴったりで、そんな職業訓練学校みたいなことをやるなーと言われそうな(笑)。
まあ、三年間にプレゼンばっかりやっていたらそりゃあ変な話であるけど、「ロジカル」に話す内容を組み立てるという作業自体は、高校を卒業するまでにできるようになってほしいということはある程度共有できそうな気はする。
さて、実際に学習指導要領ではどうなっているかといえば、「現代の国語」の知識・理解「(2)情報の扱いに関する事項」で「主張と論拠など情報と情報との関係」などに関することを取り上げることとなっている。
それを引き継いで、「論理国語」では知識・理解(2)で「情報を重要度や抽象度などによって階層化して整理する方法」と発展させて取り上げられている。
ここで挙げた「主張と論拠など情報と情報との関係」「情報を重要度や抽象度などによって階層化して整理する方法」などは、まさに本書で扱われているようなテーマであり、重視しているスキルである。一方で、普通の国語科の教員が、あまり経験が少なく、決して得意ではない分野であろう。
確かに、上っ面なプレゼンばかりを何も指導せずに練習させていたら、こういう「情報の扱い方」というスキルを身につけさせることはできないだろう。また、だからといって実際にプレゼンや発表を活動として経験しないでも、この手の情報に対するスキルは身につかない。
生徒に何を期待するのか、ということを読み間違えてはいけないだろう。別に職業訓練としてプレゼンをやらせるのではなく、プレゼンという言語活動を実現するために、相手意識をもって情報を収集したり、話を組み立てたり、伝え方を工夫したりする、そういう知的生産の技術をきちんと授業で扱っていきたいのである。
別に、プレゼンなんて横文字を使わなくても、「相手を意識する」というような話はいくらでも実践・研究で出てくるのである。プレゼンという横文字になった瞬間にアレルギーが出るのはなんでしょうね。
とりあえず、気軽に読んでみてください
プライム会員ならば無料で読めますので、とりあえず気楽に読んでみると面白いですよ。
教員が苦手で我流でやっていることを、こうやってビジネスの世界だと整理するんだ―とか、授業づくりではこういうことはこう考えているな―とか、色々な発見があるのです。
次の国語の学習指導要領で「情報」の扱いは一つのキーワードになるわけですが、ジョブズの物まねが授業にならないためにも、「情報を扱う」ということを企業の文脈で知ってみるのも面白いですよ。