なぜかこの十月の終わりのタイミングになってICTについてネガティブなことを言う人が増えた印象がある。
ICTが軽薄だから使いませんでなくて、使えないの違いだろと思う事案数件
— ロカルノ (@s_locarno) 2021年10月27日
かなり意地の悪いことを言っているが、「使いません」という宣言は、なかなか無責任なことを言っていると思うのですよ。
楽しい話をしよう
あまりネガティブな話に対して、目くじらを立てて反論していても疲弊するだけなので、今回は「使わない」という人は放っておいて、使うと楽しいという話をしよう。
「上手くいかないと心配だから使えない」という人も多いという事情は理解しているので、ぜひ、今は役に立つ書籍が多いので、それらは手に取って欲しい。
既存の授業を一部、置き換えるところから始めても大きなメリットは体感しやすいし、使い込めば使い込むほど生徒の学び方を加速させられるので、逡巡しているのであれば思い切ってやってみることは大切だ。
ここで自分の授業の様子を写真などでお見せできないのは残念だが、自分の授業も一人一台端末が今年度から整って、半年間、使い続けて来たが、端末のあるなしでもはや授業の設計そのものが違っているのだ。
印刷してプリントでやっていた作業が、データで送ることが出来、そしてそもそも手渡せる情報自体も多くなる上に、生徒が自分の理解を深めるための手立ても増えるので、授業の速度が加速していくのである。
「ICTを使うことが目的ではなく、ICTで教えることが目的だ」なんて言い方もよく目にしているけど、使い慣れていない状況ならば「いいからICTを使うことを目的に授業してみたら?」と思うのである。使うことを目的にICTに使い慣れていくと、ICTを使って学ぶことも加速するので、奇をてらわずに、さっさと使った方がよい。
あと、「ICTで教える」という言い方も、注意が必要で、箸の上げ下げを管理するように授業でのICTの使い方を捉えると、途端に徒労が多くなる。授業観のアップデートも必要である。
見えなかったものを見えるように
ICTを使うことで体感しやすい一番のメリットは、生徒の思考が手に取るように分かるようになることだ。ICTのツールを使って、思考を可視化、共有、蓄積できることで、見えてくるものが多い。
アナログの作業だと、個人の器用さが学びの質と区別して評価することの難易度が意外と低くないし、思考をアウトプットするまでに色々な壁があることで、難しさを感じる生徒は少なからずいるのである。
データが残り続けることで、授業者が見落としていたものがふとした瞬間に見えてくるのだ。
また、表現自体を補強してくれるのもICTである。たとえば、自分の能力で表現することが難しいことがあっても、Canvaのように様々なテンプレートがあるツールを使えば、ゼロからはアイデアを作ることができない生徒でも、上手にアイデアをまとめられる可能性がある。
例えば、Kahoot!のような確認テストを使うと、フィードバックがすぐに得られることに惹きつけられて、自分で勉強しようとする生徒が出るかもしれない。
例えば、Jamboardの背景を思考ツールにして、生徒の思考を整理させることで、志望理由書の指導が効率化できるかもしれない。
いずれも、自分がこの一年で経験したことである。一般的な現象なのかは分からないので一つの可能性として。
使うことの先へ
もちろん、ICTを使うことのメリットはさらにその先にもある。
でも、そのためには授業の在り方自体を変えないと難しい。
教室に行って、生徒の進捗を確認して回るだけの時間が成立するようになると……。