ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

教職大学院の雰囲気をつかむのにいいかも?

今年も読んだ本の紹介を地道にしていこうと思います。

2017年の一発目はこの雑誌。 

授業づくりネットワークNo.24―教職大学院で学ぶ。

授業づくりネットワークNo.24―教職大学院で学ぶ。

  • 作者: ネットワーク編集委員会,藤川大祐
  • 出版社/メーカー: 学事出版
  • 発売日: 2016/12/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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興味があるテーマの時だけ購入している本ですが、今回は「教職大学院で学ぶ」というテーマであったので購入してみました。

大学院で勉強を目指す人へ

タイトルは「教職大学院で学ぶ」というものになっていますが、内容としては一般の「教育学研究科」での勉強・研究のスタイルや教育学以外の社会人大学院生の記事などもあって、「一度、教職に就いたけれども、授業のために大学院で勉強したい」という人が最初に触れる内容としては面白いかもしれない。

日々、学校という場で仕事をしていると思うことだけど、どうしても現場にいると「学問」や「研究」の最先端の話題からは置いていかれることになるし、大学時代は贅沢に使うことができていたリソースに触れることが難しくなるので、「何かをちゃんと調べたい」と思うと、かなりの苦労をすることになる。

だからこそ、機を見て「大学に戻って勉強しよう」と思っている教員の人は決して少なくないとは思うのだけど、でも、仕事が忙しかったりどんな勉強ができるのかのイメージがわかなかったり(…大学院の受験でそれはどうかとは思うけど)して不安に思うときこそ、この本を読むといいかもしれない。

教育系の大学院の雰囲気は伝わります

自分も国立の教育学部の大学院を修了しているので、教育に近いところの大学院が何をしているかということについてはイメージがある。そんな自分の経験に照らして読んでみても、今回のこの特集は「教育学部の大学院でどのようなことを研究しているのか」というイメージが伝わりやすくて非常に好感が持てる。

おそらく、教育以外の大学院が演習やゼミが中心で比較的に個人の研究テーマ中心で動いていることに対して、教育学部の大学院の多くの場合、共同研究的に授業を参観して協議したり、お互いの研究テーマについて研究的な意見や実践経験からの意見のやりとりがなされることなど少し毛色の違うことをしていることのイメージを上手く伝えてくれているなぁと思う。

また、外から伝わりにくいこととしては、教育学部の大学院はおそらく他の大学院よりも所属している人間の種類が多いことだ。

ストレートマスターはもちろん、都道府県からの派遣できている人や教職に一旦つきながらも、休職して私費で大学院に学びに来ている人*1がいたり、地域の研究指定校の方とやり取りしたり……などと、大学院で関わる方は非常に多岐にわたる。

自分もストレートマスターで院に入ったが、そこで現職の方々と関わることができたことは、今でも非常に大きな財産になっている。こういう情報が案外伝わらないで、頭でっかちのように思われることや他の親学問の院と差別化されないで思われることは残念だと思っている。

教職志望の高校生こそよむべきかも

大学院に気持ちが向いている先生方が読むのはもちろんいいことだと思うけど、それ以上に、教職に気持ちが引かれている高校生が読むといいかもしれない。

教職が決して熱意ややる気だけで成り立っている仕事でもなければ、親学問を趣味的に教えるような仕事でもないんだということを理解してほしい。教職を目指すのであれば、やっぱり教育学部できちんと議論されていることが決して空疎なことではないということを知ってほしい。

進路を選ぶときに妥協して教育学部以外で……となるのがもったいないとわかってほしいなぁ。

余談

教員のための統計学の特集記事が載っています。比較的に簡単なので、統計をやらなければなぁと思っている方は覗いてみるといいかも。

*1:一般的に「派遣」の方は当然ながら優秀な人が多いが、もちろん、休職して私費で来ている人が劣っているということではない。むしろ、休職して貯金を切り崩してまで学びに来ている人の覚悟は違うため、非常に学ぶことは多いのです。

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