ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

生徒は解説されたいのか?

blackboard

今週の授業は珍しく精読の一斉指導をした。まあ、高校に入って彼らにとって初めて読むテーマの文章であるから、ある程度、説明しなければいけないなぁという感覚があったのです。

そんな授業に対する生徒の反応などについて思うことをば…。

やっぱり一斉指導には慣れているよね

授業をやっていて思うが、生徒の方は一斉指導には慣れているなぁとつくづく感じる。というか、ほとんどの授業が「言語活動の充実」なんて言葉すら知らないで(失礼)一斉授業で行われているので、生徒の方からすれば「普通に」授業をされた方がラクという感覚はあるようだ。

こちらが淡々とつまらない話をしていても、しっかりとノートを取ったり辞書を調べたり授業を受けているのだから、一斉指導を受ける態度としては何も不足はない。それどころか私語もなくシーンとしているので、黒板に字を書いている音に自分の方がプレッシャーを受ける。

そんなにシーンとしていなくていいから!もっと好きに思ったこと口に出していいから!!むしろ、授業のペースが淡々とするとつまらないから好きにツッコミ入れてくれたほうがいいから!!!

そんなことを思いながら授業しているわけです*1

本当は活動よりも授業を受けていたい?

当たり前の話であるけど、生徒と自分の間には知識差は大きい。だから、生徒としてみたら授業で色々な話を聞けることに期待している部分もあるらしい。

素材についての話題についてもそうだし、入試での扱われ方であるとか勉強の仕方であるとか、知らないことは少なくないという自覚はあるらしい。

こちらとしては題材についての話題はそれなりに下準備をしてはいるけど別に専門的に勉強したわけでもなく、入試問題での取り扱いは点数を取るだけにしか興味ない扱われ方されても嫌なのであまりそこをウリにしたくもない。

だから、自分の方としては一斉授業をするときは、どうやって題材についての理解を深めることができるのかという知識へのアクセスの方法を話したり、どんな意識で読んでいくと面白く読めるのかということを話したりするようにしている。例えばネタ帳としては 

「予測」で読解に強くなる! (ちくまプリマー新書)

「予測」で読解に強くなる! (ちくまプリマー新書)

 

などの話とかね。

生徒としてみればこういうちょっとした小話を聞けるだけでも、活動よりもラクだし勉強した気になるから安心できるという感想もあるだよねぇ。

別に一斉授業が嫌いなわけではないです

しょっちゅうアクティブ・ラーニングがどうのこうの言っているから、一斉授業否定派と思われても困るのです。必要があれば模試の解説や演習の授業やってますし。

ただ、個人的に一斉授業で頼りきりになられても困るなぁという思いを持っているので、生徒に頼られたくないと思っているのです。

塾講師やっていたのでそれなりにはテクニカルに教えたり興味をひいたりする一斉授業はできるし、意図的にそういうテクニックを使って初対面の生徒の信頼を得ることを狙ったりすることはあるけど、基本的には一斉授業で教えられることは限られているよなぁと思っているわけです。

手っ取り早く話したほうがいいものは話すし、時間をかけるべきところに授業内で時間をかけるということに優先度を持ってきたいだけなのです。

一斉授業はアリバイ作りとしての効率はいいからね。また、伝えたことを振り返らせることで何度も同じことを話さないで済むし。でも、その伝達効率のよさを「同じ文章を何時間も精読し続ける」なんて授業をしたら台無しにしてしまうわけで。精読の授業をやるとしても、同じ文章をひたすら一行ずつ解説していくことはやりたくなぁと思うわけです。実は生徒の授業がそこにあるのもうっすらとは感じるのですが。

自分で勉強できるように

結局、一斉授業で自分がやりたいことはどうやったら自分で勉強していけるかということまでなんだろうなぁと思う。

生徒の方としては色々と話を聞いたほうが自分では気づかないようなこともわかるし、教えられたことを元に考えたりすることもできるので面白いという生徒もいるのですが。

でも、あれもこれも話している時間が惜しいのです。自分の独擅場にするくらいなら、拙くても自力で考えて書いたり話したりしてもらったほうが良いだろうと思うのです。来年、自分が教えるわけでもないし、まして高校卒業後には全く役に立たない知識を偉そうに解説してもなあ…と。

一斉授業で教えるべきはやっぱり読んだり書いたりするための手引きなんだろうなぁ。

*1:但し、他のクラスが何時間もかけて同じ文章をごちゃごちゃやっているのを一時間で終わらせるという超特急の内容である。

Copyright © 2023 ならずものになろう All rights reserved.