リーディング・ワークショップで大切なのは生徒の読んでいる本を把握していくことです。もちろん、自由読書であるので生徒が読んでいる本の全てを把握することなんてできないし、そのことは大きな問題にはならないのだけど、それでもできるだけ生徒向けの本をたくさん読むことは必要です。
その意味だとあまり生徒向けの本を読んでこなかったことが思い知らされている日々なのですが、今後に向けて「今回の生徒」がよく読んでいる本を10個くらい紹介してみようと思う。
もし、「うちの生徒は…」というのがあれば教えてください。
定番?複数のクラスでよく読まれている本
森見登美彦
「夜は短し歩けよ乙女」が映画化する影響もあって生徒の読書率が高い。
- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/12/25
- メディア: 文庫
- 購入: 84人 クリック: 1,493回
- この商品を含むブログ (714件) を見る
この系統であるならば『有頂天家族』 (幻冬舎文庫)もあうと思うんだけど、案外、読まれていないので少しずつ勧めている。なお、最新作の
は作風が全くこれまでとは異なるので、生徒によって評価が二分される。森見登美彦作品を読んだことがない生徒には比較的ウケがいい。
東野圭吾
定番中の定番。ミステリーとして初めて読んだ!というパターンが多いみたいだ。
作品の数も多いので人気もばらけるところだけど、うちの図書館だと上の三つがよく売れている感じ。どうして?と聞いてみると表紙買いが多いようだ。
装丁でお気に入りを見つけるという態度も読書家になっているなぁと感じる(笑)
山田悠介
個人的にはどうなの?という印象を持っていたが、生徒には人気が高い。
- 作者: 山田悠介
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/11/25
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 16回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
『リアル鬼ごっこ』の印象が良くなかったので敬遠していたのだけど、かなり生徒が読んでいる印象なので、自分も読んでみてもいいのかなぁと思い直しているが。
森絵都
自分は好みではないせいか全然手に取ったことがなかった作者だけど、これも生徒に人気が高い。
- 作者: 森絵都
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/06/25
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 24回
- この商品を含むブログ (30件) を見る
特に『カラフル』が人気。新刊でもないのに、どうしてこれほど流行っているのかと思ったら、読み終わった本を生徒が勧めたことでジリジリと人気が広がってきたようだ。
恩田陸
この前、直木賞を取った『蜜蜂と遠雷』があれだけ分厚いのにジリジリと人気が広がっている。
個人的にも恩田陸の作品で初めて最後まで熱中して読めた作品。音楽というテーマに共感しやすいのかもしれない。
阿部智里
生徒に人気なのだが、まったく知らない。今度読んでみようかな。
又吉直樹
文庫本が出たみたいですね。「リーディング・ワークショップをやるから、本屋に行ったら見つけました」という嬉しい報告とともに何人かが教えてくれました。
ただ、残念ながら、内容にはあまり生徒は引き込まれていない…。
時代を超えて共感される作品
大人もよく読んでいるような作品はやはり生徒にも人気です。
星新一
定番中の定番である。
時代が全然古いということを教えてあげるとびっくりする生徒も多い。
江戸川乱歩
ミステリーブームが来てます。
綾辻行人
- 作者: 綾辻行人
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/11/25
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (61件) を見る
アニメにもなったくらいなので読みやすい。個人的にアニメでよくやったぁと思う作品ですが。本当は綾辻行人であれば新本格派としての作品を読んでもらいたいとは思っている。
新本格派は案外、堪えるようです……。
谷崎潤一郎
なぜか卍ブーム。これも生徒同士の薦め合いで来たブーム。
ライトノベルも読んでいます
ライトノベルを読むことも認めているので、結構読んでいます。
君の名は。
映画と併せて楽しんでいるというパターンが多い。
魔法少女育成計画
アニメ化されたばかりということもあるのでやはり人気。
文体にけっこう癖があるのでよく我慢してシリーズを読み通しているなぁと思う。やっぱり好きなものを読むと粘り強い。
ソードアートオンライン
これも映画化の影響と新刊が最近出たことの影響。
ソードアート・オンライン19 ムーン・クレイドル (電撃文庫)
- 作者: 川原礫,abec
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/02/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (1件) を見る
設定が難しくて読みにくいという声は多数あり。個人的にはソードアートオンラインを読むならクリスクロスをだな、読めと…
文学少女シリーズ
これは実は自分の趣味を薦めたら読んでもらえたパターン。
“文学少女"シリーズ 本編+外伝 文庫 全16巻 完結セット (ファミ通文庫)
- 作者: 野村美月
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2011/09/08
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
ここから別の作品に繋がってくれたらいいんだけど……まあ、欲張りなことはいいません。
意外と幅が広い?偏っている?
実は「人気の」とは銘打ったものの、生徒の読んでいる本を確認していくと、100人いてもほとんど重複しないで各自がバラバラのものを読んでいる。
人気になるものは、大人にも人気になっているよなぁと思えば、自由読書であっても決して偏っているという印象は受けないのが自分の感覚だ。
本の偏りよりも、自分にとってよい本を選んで読んでいる様子の方が重要だと感じる。確かに、難易度を聞いていると「自分にとっても楽々読める」という本ばかりを読んでいることが多いので、もう少し自分に「ちょうどよいレベル」の本を読む意味を伝えていかなければなぁとは思っているけど、本の偏りとは関係はあまりない。
ぜひ、どんな本が生徒に流行っているか教えてください。