国語科の先生だからといって言語文化にオールマイティに精通している訳ではない。
だから、たまには言語文化を勉強しなければいけないなぁと思うし、そもそも嫌いではないので国語科の教員をやっているので、むしろ、そういう本を読むのは楽しいのです。
今月のちくまプリマ―の新刊は、そういうニーズを満たしてくれる一冊です。
この二人のタッグは、かつてこんな本も出ていました。
創作についてかつて

短歌という爆弾: 今すぐ歌人になりたいあなたのために (小学館文庫)
- 作者: 穂村弘
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/11/06
- メディア: 文庫
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を読んでいたり、短歌の授業づくりの時に
を読んでいたりしていた。
そんなわけで、何かと馴染みのあるお二人だったので、今回の本も楽しみでした。
なかなかパンチの効いた一冊
この本のタイトルは『しびれる短歌』である。
ひらがなで可愛げのあるタイトルとちくまプリマ―のパステルな軽い感じの表紙に油断して気軽に読み始めると、穂村弘氏の「まえがき」からいきなり頭を殴られる。
もう、そのパンチ力が最高なのだが、ここでそれをここでネタバレしてしまったら台無しなので言えないのが悔しい(笑)。生徒には薦めにくいのが悩ましい。
短歌がどれだけ人間を深くえぐるのかということを、第一章から手加減なく盛り上がるので、息つく暇がない。もうあっという間に一冊読めてしまう感覚だ。
歌人のコメントの鋭さ
テーマごとに集めた短歌について、穂村氏と東氏の対談で解説するという形式の本である。
自分のような素人が読んでいても全然気づかない、感覚としては伝わってこないような感覚が、歌人の二人が話しているとあたかもそれが当然であるかのように、共有しあっている。その感覚をのぞき見するような感覚が面白い。
それにしても、短歌に対する二人のコメントの切れ味が凄まじい。
一見すると全然書いてない!と思うようなことなのに、二人の会話を読んでいると、もうそういう意味が浮き上がってくるのが当然であるかのように思える。
歌人だから適切なところに、適切な言葉を使うことに優れているのは間違いないのだろうけど……指導書を読み上げて授業やってもこうは面白くならない。何が違うのでしょうね。
この本の中で俵万智氏が一青窈さんの短歌を添削していくのだけど、そのコメントの切れ味がまた凄い。
歌人の人々のこの「鋭さ」はどこからやってくるのだろう……?
ちなみに、この本を参考にして授業を過去に行っています。
作風の真似っ子が面白い
本書のボーナストラック的な位置に、穂村氏と東氏がお互いの作風を真似しあって作品を作り、相互に批評し合うという企画があります。
これがまた面白い。
お互いの作品を真似するのだけど、作品として成立させるためにあえて自分の作風を残してしまうという話が出てくるのだけど、それが興味深かった。
創作についての自分の個性や特徴を自分自身がよく分かっているんだなぁという素朴な感心とともに、作品を成り立たせるということに非常に繊細な感覚でこだわっているのだなぁと驚きがあります。
あっという間に読めてしまうので
あまりにテンポよく話が進んでいくのであっという間に読めてしまいます。
ぜひ、この連休中に気軽に読んでみてください。