今年度は京都大学の溝上慎一先生が『国語教育』にアクティブラーニングについて連載を書かれています。
今月号の話も非常に面白かったです。
ワークシートは外化するのに…
詳細は実際に雑誌を買って読んでいただくとして、要点をまとめると以下の点。
- アクティブラーニングの基本形として「書く・話す・発表する」という外化が重要である。
- ワークシートはできる子どもだけの外化にならないために、全員が外化するために重要である。
- ワークシートによって「個―協働―個の学習サイクル」を実現しやすくできる。
- 子どもの主観的な読後感を大切に伸ばしてもらいたいし、そのためにワークシートでできる工夫は大きい。
というような具合である。
おおむね内容に対する異論はない。自分も高校1年、2年の前半については学習の共に、ワークシートで授業を行ってきた。そうして、間違いなく、生徒が少しずつ自力で読めるようになってきたという感覚はある。
だからこそ、割と次の指摘は納得できる部分が大きい。
国語について説く専門家や教員の話を聞いていると、読解力の形式的技法を説く*1ものがあまりに多いことに気づく。中学、高校ではとくにそうであり、高3生の大学受験や入試問題の指導になるといっそうそうである。…(中略)…乱暴に聞こえるかもしれないが、誇張して、そのようなことはまずどうでもいいと説きたい。…(中略)…あらゆる種類のテキストについて、そもそも人はなぜテクストを読むのか、というもっとも基本的な動機が問われている。人は、自分の考えや世界を拡げるためにテクストを読むのである。(PP.116-117)
だからこそ、多少の誤解があっても、生徒自身の言葉で語る時間を自分も大切にしてきたのだから。
しかし、今思うことは…
こういう作業のためにワークシートが強力なツールであることは認めている。
しかし、ワークシートでの授業だけで三年間を終わらせたくない自分がいる。もちろん、この『国語教育』の連載の内容は、アクティブラーニングの入門編ということなので、決してハードルの高い話に主眼がある訳でないことは分かっている。むしろ、連載だけよんで分かった気になるのではなく、
アクティブラーニング型授業の基本形と生徒の身体性 (学びと成長の講話シリーズ)
- 作者: 溝上慎一
- 出版社/メーカー: 東信堂
- 発売日: 2018/03/05
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などを参照するべきなのです。
それを分かったうえで「でもね」と言っておきたいのです。
自分はやはりワークシートは早いうちに卒業するべきだと思っているのです。
どうやったら情報を構造化して、そして自由に読めるのだろう?
*1:「専門家」がこのような言い方をするのかは自分は疑問だし、このような言い方をするのを国語の専門家とはあまり思いたくはない。