居酒屋のメニューみたいですが、「Active Learning Patterns for Teachers」の45個の観点の一覧表です(上の写真はBenesseからもらった冊子の裏側に掲載されているものです)。
id:Yacchae先生が始めてくださった企画に乗ろうと思っていますが……出願などで忙しくてしっかり書く暇もなくて(´;ω;`)。
そこで、そのリレー記事の準備編のように、ざっくりと眺めて思ったことを書いて企画の熱が世の中から冷めないように支援します。
自分の好みの授業観が見えてくる
ALPですが、カードになっているものと、詳細に説明している冊子があります。今回は冊子の方を読みながらこの記事を書いています。
冊子の方ではカードに書かれていることに加え、実際にこのALPを作成に当たって協力されている先生の「語録」などもあってなかなか面白いです。自分と同じようなことを言っているなぁと思ったりします(逆に言えば、同じことを思っているのに高校の現場が孤立化していて、なかなか同じ思いの人とつながりにくいということでもあり、残念に思ったり)。
45個もあると、さすがに自分の考えていることと同じことがいくつか見つかります。その内容を組み合わせると自分の授業観の傾向が見えてきそうな感覚があります。
例えば、自分の場合は以下のような感じです。
割と好みな観点
上の45個のなかで自分が比較的大切にしているなぁと思う観点が以下のものだ。
- A1 学びの主人公
- A4 おしゃべりの関係
- B2 疑問を持つ力
- B3 達成への粘り
- B6 いろんな参加
- B11 晴れ舞台をつくる
- B13 自分で決める経験
- C1 学び続ける教師
- C4 余裕をつくる
- C5 自分のワクワク
このあたりがそれぞれの項目の内容を読んでいてもすぐにピント来るなぁということ。
最近の授業に対するスタンスが、できるだけ大きな枠で目標やゴールをイメージを作っておいて、授業の中でのやりたいことや学び方をできるだけ生徒に委ねたいという気持ちがある。ゴールを大まかにすることで、過度の完璧主義に陥って、一つの教材からなかなか抜け出せないような単元にならないように、年間計画で似たことを繰り返し取り組むことで段々と成長していけるような、そんな余裕をもって授業をしたいと思っている。
自分が生徒の話を聞くのが楽しいのである。生徒が授業者である自分が見つけられなかったような資料を持ってくることもあれば、まだまだだねと一蹴された生徒がなにくそと再チャレンジしてきてよりベターな考えを生み出せたり、そういう成長を見取りながら授業が進められることが楽しい。
そんな授業の展開を支えているのが、疑問を持とうとする力である。地道に繰り返し、質問づくりをやってきたことで、生徒が疑問を持つということが習慣化されている。
たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」
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自分の疑問だからこそ、自分で何をするか決められる。逆にいえば、自分が決めたことにきちんと向き合わせることを生徒に求めるというスタンスで授業に臨んでいる。
そのためには、自分が学ぶという作業を惜しんではいけないのだろうと思っている。何をするにしても、ちゃんと考えてやろうと思えば、手間がかかるし面倒である。その面倒くささを引き受けることを繰り返して、ちゃんと自信をもって学ぶ態度とは何かを生徒に伝えていきたいと思う。
逆にあまり好みでないものもある
別にこのALPに対して全面的に賛成しているわけでもないのです。好みでない考え方も当然ある。
例えば自分であれば、以下のような観点は好みではないので、自分の授業で取り入れるかは状況次第だろう。
- B4 楽しい入り口
- B5 とっつきやすい入り口
これらは要するに生徒に課題に取り組ませるためにハードルを下げるという発想の観点だ。まあ、やらなければ何も変わらないのでそういう工夫は必要なのも事実だ。
でも、自分はできるだけ朝三暮四のような導入の仕方はしたくない。結局、低いハードルを飛んでいるだけでは見えないことが多いし、途方もない課題を自分自身でどのような細分化して立ち向かっていくのかということ自体も学びではないかと思うのである。
ハードルを下げない分だけ、魅力や道筋を語るようにしたい……が、甘くないけど、現実は。
- C6 まずやってみる
自分の性格の問題であるが、やるなら現状のベストを揃えてからだと思っている。結果的に試行錯誤していくことになるのだが、試行錯誤すればいいやという意味でのまずやってみるは生徒に対して失礼だよ。ちょっと試行錯誤を免罪符にしすぎに見える解説でもあった。やるからには万全の準備をする。試行錯誤なんてないほうがいいのだから。
もちろん、試行錯誤の姿を見せること、生徒とともに授業を作り直していくことも大切なことだと思っている。だけど、それは緻密な準備の後でしょう。
割と話すことは尽きないかも
書いていて思ったが、これは授業をしたことある人ならそれなりに話すことがあるなぁということ。
自分も校内で試しにこれを使って勉強会……というかおしゃべり会をしてみたことがあるが、三時間くらいずっと話していたので割とよい機会になるのかもしれない。
学校に足りないこととして、どんな教育をしたいのかということを青臭く語る時間だという人もいるが、確かにその通りだと思う。忙しくてどんな学校にしたいのか、どんな授業をしたいのかを、隣の人が何を考えているか分からないままに過ごしていることの方が多いでしょうから。
このALPを使って、お茶でも飲みながら気楽に話せるようになったら、学校の活気も少し良くなるのかもしれないですね。
教員でない方も…
教員でないとBenesseからALPを手に入れるのは難しいでしょうけど……上の見出しを見た印象でもいいので、どんなキーワードが自分の求める教育なのか、語ってみるのもよいのかもしれません。
むしろ、教員としては教員でない人がどんな観点に興味を抱くのかということにも興味があります。
もしよければ、ぜひお知らせください。