ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

授業の振り返りをどう記録する?

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この三年間の授業で色々な形で振り返りをさせてきました。それぞれのやり方に長所と短所を感じるため、来年度からはどうやって振り返りを記録させていこうかなぁと思案しています。

とりあえず、三年間、「大福帳」「振り返りジャーナル」「ノートへの記入」と三パターン試してきたので、使ってみた実感を記録しておこうと思います。

「大福帳」と「振り返りジャーナル」とは

当ブログの読者ならお馴染だと思いますが、一応、「大福帳」と「振り返りジャーナル」とは何かを説明しておきます。

「大福帳」とは、もともとは早稲田大学人間科学学術院の向後千春先生が提案されている、リアクションペーパーの一種です。

すべての授業で大福帳を使おう – KogoLab

それを自分の授業に合わせて改変し、作り替えたものがここで呼ぶ「大福帳」です。

具体的な運用の方法などは以下の過去の記事をご覧ください。

www.s-locarno.com

www.s-locarno.com

www.s-locarno.com

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とにかく手軽に使えるのが便利なリアクションペーパーです。

一方、振り返りジャーナルとは、岩瀬直樹先生のご提案されている振り返りの方法です。

「振り返りジャーナル」で子どもとつながるクラス運営 (ナツメ社教育書ブックス)

「振り返りジャーナル」で子どもとつながるクラス運営 (ナツメ社教育書ブックス)

 

ノートを短冊のような形に切り、一回に一ページごと振り返りを行っていく方法です。

生徒とのコミュニケーションとして大福帳よりも分量を多く取れることがよいです。

www.s-locarno.com

「軽やかに受け止める」……いまだにできませんが。

それぞれの長所短所

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とりあえず、先に結論。使ってみたときの長所・短所の実感をまとめた表が上である。

この手の「振り返り」の記録で重要だと思うポイントは「1.手軽に記入できるか」「2.管理の手間がかからないか」「3.あとから読み直すときの利便性」の三点である。

大まかにいえば、「大福帳」は気軽に記入できる分だけ、分量は限られるし、整理の手間がかかる。一方で「ノート」は整理の手間は要らないし、分量は好きなだけ書けるが、読み直すにはあまり向いていない。「振り返りジャーナル」はその中間と言ったところかな。

「大福帳」はお手軽に使いやすい

大福帳の一番のメリットは記入の手軽さである。授業の終わりに5分もあれば十分に記録が取れる。また、記録しておけば勝手に時系列に並ぶので、振り返りを読み直すのにも都合がよく、自分が授業を通してどのように変化していったかということを把握しやすい。

また、教員側の管理としても紙一枚であるので、点検もしやすい。

逆に言えば、生徒が無くしやすいともいえる。特に、5回分で一回で運用しているので、単元の途中で無くしやすいのである。

だから、自分の場合は「大福帳まとめノート」を作ってそこに貼らせるようにしていますが……たまにしか使わないものは無くすんだよな、子どもたち……。

身も蓋もないことを言えば、電子化されればいいのですが……ないものはないのです。

ノートは記入量が抜群

当たり前ですが、授業ノートに振り返りを書かせていくと、好きなだけ振り返りを書くことができます。授業内容を見ながらの振り返りになるので、授業のまとめとしての色彩が強く出ます。

そのため、授業内容の深化という意味ではノートへの振り返りはかなり効果的であるように感じます。教員が最後に発問を投げかけて、その答えを書かせる……という運用もしやすいですからね。

その代わり、ノートへの振り返りの記入は、生徒自身が書き方を考えたり、分量を調整したりする必要があるので、そもそも記入できるようになるまでに、それなりに訓練が必要です。

また、ノートは集めると場所を取るので、紛失はないものの、教員の管理が意外と面倒……30人分のノートを抱えて上層階まで階段を上りたくない……。

また、「振り返り」をまとめて読むのには適していないです。

あと、ノートだと大福帳や振り返りジャーナルのような、生徒からの雑談や世間話が書かれてこないのも少し寂しいです。振り返りはコミュニケーションツールの一面があるので、そういうことが書きにくいのもややマイナスかなと。

「振り返りジャーナル」は用途が広い

「振り返りジャーナル」はノートを小さく裁断したものであるので、ノートと大福帳の間のような性質になっています。

ノートのようにある程度の分量が書けますし、大福帳のように時系列に振り返りが並ぶので振り返りの読み直しもしやすいです。

持ち運びの手間も小さく、紛失の恐れも大福帳よりもはるかに小さいです。

まあ、小さいとはいえ、担当クラス分をすべて集めると、相当な場所を取るので、ファイル一つで持ち運べる「大福帳」に比べると、管理は大変です。

「ノート」の場合は、授業内容と振り返りがそばに書いてあるので、授業内容と紐づけて振り返りしやすいのですが、「振り返りジャーナル」だと授業内容とは紐づきません。

また、ノートと同じように少し書き方を指導しないと、生徒は上手く書くことが出来ません。いい加減な指示であると、ろくに日本語を書かない。

個人的な好みとしては…

個人的な好みとしては「大福帳」が一番使いやすいですね。

生徒にとって負担が少なく、気軽なコミュニケーションという意味では、大福帳が一番ストレスが少ないです。

ただ、大福帳のように気軽に書くだけでなく、授業内容と結び付けてそれなりの分量を振り返りで書いたり、自分で書き方や書く場所を考えたりすることも、書くことの訓練としては大切なことだろうと思うので、徐々に「ノート」へと移行していった方がいいよなぁという気持ちがある。

どう書くか、どこに書くか、どうやって書くか、を適切に選べることも大切なことである。

また、初めて振り返りをやらせてみたいという方には「振り返りジャーナル」から始めることをおススメすると思います。管理の手間が小さく、岩瀬先生の書籍でどうやっていけばいいかのイメージも持ちやすい。

振り返りは、生徒の学びの深化にも役に立ちますし、生徒との信頼関係を作るのにも役に立ちます。

どの振り返りがお好みですか?

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