今月の『教育科学国語教育』に「質問づくり」(QFT)の実践が紹介されています。
※一年半経ってから、初めて気づいたが、Amazonの商品リンク間違っています。
たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」
- 作者: ダンロスステイン,ルースサンタナ,Dan Rothstein,Luz Santana,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2015/09/04
- メディア: 単行本
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ではなくて、
こちらが正解でした。何ということでしょう。大変失礼しました。ただ、2018/12には、松本修先生の研究に近い形での問いの実践が出ています。(令和2年6月20日(土))
発売から三年が経ち、実践例が報告されるようになってきたなぁという印象です。
実践の全容が見える
今回の『教育科学国語教育』の実践論文は、QFTの流れを簡潔に2ページにまとめたものになっています。どうしても『たった一つを変えるだけ』では、海外の事例であり、「国語」の授業ではないので、実際の授業のイメージが持ちにくい部分がある。
だから、今回のこの実践論文を読むと、随分、教室でどのようなことが起こるのかということについて、イメージが持ちやすくなるのではないかと思うのである。
また、「質問づくり」というと、多くの人は調べ学習をイメージしやすいので、説明文や評論で使うようなイメージになりやすいが、今回の論考は文学的文章で紹介されているのが面白いところ。
実際、QFTは文学的文章でも活用できるし、かなり効果がある。自分も「山月記」の中間まとめの代わりにQFTを用いたことがあるか、生徒の思考整理に効果的であった。
生徒の話し合いのプロトコルやノートの写真が載せられているのも、授業をイメージしやすいところ。
QFTに興味がある人であれば、実践前に読んでみるとイメージをもって授業に降ろせるので安心感があるはずです。
「質問づくり」のよさと強み
これだけ世の中で「探究」が話題になっているので、単純に考えても「質問づくり」は注目されると感じる。よい問いを立てることが、よい探究に繋がるということは、最近では耳にタコができるくらい聞くようになってきています(笑)が、「質問づくり」(QFT)はただ、「問い」を立てるということにだけ良さがあるのではない。
もちろん、QFTの手法自体が洗練されているので、効果的に生徒の思考の拡散と収束を行い、メタ認知を強化する。しかし、そのような強みに限らず、QFTの良さは生徒自身が学習を自分のものとして取り戻す、お互いの質問を尊重し、弁証法的により高次の問いを生み出す、そのような過程によって、生徒の学びへの自信を持たせることができるのです。民主主義自体を体感する、そのような良さがあるのです。
だから、一度だけ授業でやったくらいではQFTはあまり効果がないとも言える。繰り返しやっていくなかで、徐々に、身体感覚として身についてくるものがあるのである。
時間をとることが難しいように思えますが、最初の導入に3時間くらいかけたのちは、単元に一回、10分くらい生徒に時間を手渡せば実行できます。『たった一つを変えるだけ』というタイトルの通り、変えるのは単元に一つの発問を生徒の質問づくりに変えるだけでよいのです。少しだけ、ただ、継続して。
過去のQFTの実践記事
他に国語科に限らず、QFTの実践があれば、ぜひご紹介ください。国語科の実践はなおさら歓迎です。