定期的に悩んでいるネタである。
今年も定番教材がシラバス的にはやってくる時期になったが……。
実態とあっているのかという逡巡
定期的に悩むのが定番教材をどのように扱うべきなのかということである。
割と扱う時期も固定的で抗いにくいところがあるのだが……。毎年、自分の教えている生徒の様子をみて、定番教材と呼ばれるものを見て、見比べて考えると、実態に合っていないんじゃないかという気持ちが湧いてくるのである。
三年前もそうだったが「羅生門」の語彙がもはや生徒に合っていない。全員で、同じ素材を無理して読むという必然性を感じられないのである。同じく小説を読むにしても、もう少し読みやすいものはある気がするが……。
ただ、生徒は実際問題としては中三でやはりこれも定番教材である故郷をやっているのである。
※上のは教科書とは訳者が違うはず。
故郷をやっているのであれば、次の難易度ならば確かに「羅生門」はおかしくはないと思わないこともないのだが……。実際に、「故郷」が読めているのか、読まさせて授業できるのか……今の生徒の様子を見ていると自信はない。
自分の重しになっていることに時間数の少なさもあり……ちょっとしんどいなと感じている。
ただ、無理をして挑戦しないと見えてこないものもある。結果的に苦心しても、自分たちなりに取り組むから、少しずつ限界を超えていける部分はある。それだけに、何でもかんでも「これはできないだろう」と自分が線引きしてはいけないと思っている。
いやぁ……バランスが難しい。
国語科だけかは知らないが…
定番教材ってあるのは国語科だけなのか。調べればわかりそうだが、そこまでの元気はない。
Amazonで「定番教材」を検索すると国語科ばかり出てくる。
定番教材でできる! 小学校国語 3つの視点でアクティブ・ラーニング
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読解力を育てる!小学校国語 定番教材の発問モデル 物語文編 アクティブ・ラーニング型授業づくりのヒント
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逆に言えば、ありがたいことに定番教材はこのように豊富な先行実践があるので、自分の教室でやりたいことをいくらでも検討できるし、資料も豊富に揃えることができる。定番教材を古臭いだとか時代遅れだとかで割り切れない理由は、生徒の能力を伸ばすという側面から考えても大いにある。自分でゼロから教材を作るよりも、既にあるものをきちんと勉強し、その上で自分の教室に根付かせる方がはるかに効率的で成功率も高いだろう。
まあ…難しいことに、定番教材は国語科だけでなく、他の教科の先生や大人からも「●●をやらないんですか?」と言われるのである。周囲が期待していること、共通の文化として期待されていることを、なかなか自分の一存では切り捨てられないのである。
軽やかに扱えれば…
定番教材は先行研究が多いことはとてもよいことだ。不毛の地である高校でさえも
こんな具合に先行実践が簡単にアクセスできる。
しかし、それだけにやりこめばやりこむほど、生徒の実態から離れていき、時間内に納めきれないでグダグダになる印象がある。
だからなぁ……先行実践を踏まえて上で、もっとあっさりと扱えないかなぁと思ったりもする。
精読は精読として大切だとしても、時間は有限にあるわけではないのだ。
何を生徒に残して置きたいのだろうとよく考えて、もっと気楽にサラッと流してしまいたい気持ちである。知識として知っていること、触れることと、実際に授業で取り組むことは必ずしも一致はしなくてよいだろう。
負荷をかけながらも負担感を感じさせないことをやりたい。