ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

大学卒業前にやっておくこと

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Twitterでバズったのでまとめつつ、補足を少しだけ。

卒論・修論のそのあとに

こんなことをつぶやいた。

現場に出てしまうと、大学の附属の学校に勤めない限り、なかなか大学図書館使いにくくなるし、そもそも図書館の営業時間内に学校出ることが難しい場合が多い。めちゃくちゃ論文や研究へのハードルが高くなってしまうのである。

最近はそれでも電子データでJ-STAGEからダウンロードできるものも増えたけど、手に入らないものの方が多いって、論文書いている時期ならよく分かるはず。だからこそ、大学図書館にある目ぼしいものは学生のうちに手元に確保しておくとよいのです。

現場で使う、使わないの問題ではないのです。ここで確保しておいた資料が数年後に自分を助けてくれる可能性がめちゃくちゃ高い。今の自分に必要がない、読みこなせないものであっても、数年後の自分はまったく事情が変わっているものである。

実践志向ならレポジトリで公開されていない紀要の実践論文や論考を集めてみるのもよいし、辞典類のコピーだってバカにならない。専門分野を学ぶならなおさら大学図書館が使えるうちにたくさん専門の論文を集めて手元に置いておくといい。今読まなくてもいいから。

5年後、10年後に、今と同じ様に卒論や修論レベルで、自分の実践をまとめなきゃ!という気持ちになったときに、手元に何も資料のないところから始めますか、自分の原点になるような論文をストックして撮っておきますか、というような話。ノウハウ本しか参考文献に書けないのでは困ってしまうよ。

実践論文や紀要についてはなんやかんやアクセスする方法は多いので、学生であるうちに出来るだけ専門分野の学会誌の論文を集めるだけ集めて卒業した方がよいとは思います。専門になるほど、大学にいないとアクセスしにくくなるよ。CiNiiなどで読めない論文へのアクセスが途端に難しくなるよ。本当に。

あと三ヶ月は大学図書館を使えるでしょう?三ヶ月もあれは100本は集められる。熟読しなくていいから、ジャケ買いくらいのノリでいいからあつめる。100本くらい集めれば、きっと5年後、10年後に消費税率くらいの割合で自分にとって役立つものが出てくるはずだよ。

というか、本気で大学図書館も国会図書館も行きづらいのが現場の仕事量なんだよ。マジで学生の間に資料を溜め込んでおくとそれだけで働き方改革だよ!本当に!

大学にいる間に、大学の持っている資本をちゃんと使い切ってから卒業した方がいいのですよ。卒業論文や修士論文を書き終えると、気分的には完全に燃え尽きているところですが、せめて週に一回でも大学に行って数時間、図書館や研究室の書棚を斜め読みしておくとよいのではないでしょうか。

先のツイートでも言及していますが、個人で電子ジャーナルを読むことは難しいですし、〇〇学辞典もなかなか手元に置くことも難しい。

おススメは、コピーカードを思い切って先に買ってしまって、使い切るまでは図書館に通うというようなやり方がよいのではないでしょうか。集めた論文は別に今すぐに読まなくていいのです。綺麗に保存しておけば、数年後に急に役に立つ瞬間がくるのです。

これは経験者にしかわからないことなので、ぜひ、これから大学を卒業して、現場に立つ方には実践してほしい。自分がやっておけばよかったことなので……。

補足など

上のツイートはあくまで教育現場に進む人に向けたコメントです。他の分野がどうなっているかは知りません。

また、何度か書いていますが、今すぐに役に立つという類のことでもないですから、完全に徒労で終わる可能性もあります。論文をいくら集めても授業にそのまま使えるものはそれほど多くないですから。むしろ勘違いして、論文に書いてあることをそのまま授業で生徒に与えようとするのはやめた方がいいですよ。いろいろと失敗します。

むしろ、上のようなツイートをした背景としては、現場に出ると、特に初年度は、自分がやりたい授業ややりたい仕事をやれるわけではないのです。自分の同級生もせっかく国語を勉強したのに、小学校に行ったところ、若いからというだけで体育に回され、いまだに体育しか研究授業できないなんてこともあり……。

時間をおいて本当に自分のやりたいことをやろうとしたら、自分の欲しい論文が手に入らない……なんて目も当てられない。

そんな悲観的なことを言わなくても、実は日常的に大学の時の貯金が自分を助けてくれることは多い。授業に行き詰った時に、自分の大学時代の資料を読み直したりしているとハッとするようなことが見つかることもある。たいていは勉強したのに忘れていることだけど。

なお、リプライで「スマホでスキャンできる」というといっている人がいますが、それは著作権的にかなり怪しいからね。ちゃんと著作権は守りましょう。 

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