ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

教員の学び方を悩む

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新年なので目標について考えるなどしています。

そのようなあれこれと悩む中で、教員としての学び方ということを考えざる得ない気分がしています。

職員室が弱くなっている実感

教育を大きな主語で語ることは困難なので、あくまで自分が見ているものの範囲での話になるが、職員室の年齢構成はいびつであり、そのいびつさが年々悪循環を引き起こしている印象がある。

公立と私学、小中高でそれぞれに実情が違うので、一括りに語ることは難しいので、自分の体験談と普段見ているものから語ることになるが、自分の教育現場での振る舞い方や考え方は、職場で得たものだという実感はない。

自分自身の実感としては、大学院時代の自分自身の学んだことやその時期に大学に長期研修生として大学に来ていた現職の先生方から見聞きした話や教員としての在り方を手本に考えている部分が非常に大きい。

相対的な議論にはなるが、長期研修生として大学院に学びに来ている先生方は、教員としては非常に意識が高いし、実力もある先生方なので、それがスタンダードだとは言い切れないとは思う。

とはいえ、常に研鑽して、授業の質を追求して、子どもたちのことを楽しそうに話す姿は、よい自分にとってもモデルなのだ。だからこそ、今でも自分の振る舞いを考える時には、その時の記憶を遡る。

逆に言えば、自分はたまたまそういう経験があるので、拠り所に出来るものがあるので安心できるのだが、教育学部以外で、学部からストレートに教員になった若い先生たちにとって、今の職員室にそういうメンターになるような人が、必ずいるのか?ということは何となく不安なのである。

めぐまれた職員室では、そういう経験ができるのかもしれない。

ただ、自分の見聞きする範囲だと、そういう経験が出来ないで苦しむ人が少なからずいるのだということを非常に残念に思っている。

コロナ禍によって、一層、お互いの結びつきが弱くなっている状況だからこそ、どう教員として学んでいけばよいのかということが難しくなっているように思う。

高校の話になるが、決して入試問題の過去問を解いて解説できるようにすることだけが教員の仕事ではないのだ。若者にそういうことばかりやらせる学校もあると聞くが……そういうキャリアのスタートのさせ方だと授業観はどうなってしまうのだろう?

学ぶことは手間がかかる

自分は基本的には頭は固いし、教育という仕事に対する他人への要求は不当に高い。

自分自身が程度の差はあれ学ぼうという姿勢がないなら、教壇に立つ資格はないと思っている。日々の実践が生産性を追求した「こなす」ものになるのであれば、学校で教える必要は無いだろうと一番、深い心根のところでは思っている。

ただ、現実にはそれだけでは学校が回らない事実も分かっているし、筋肉質すぎる組織は余裕を無くして人を寄せ付けなくなるし、人には色々な事情があることも分かっているので、それを口に出して押し付けることはしない。あくまで自分の行動規準である。

とはいえ、職員室の教育力が下がっていることと、教員の学び方については色々と思うことが増えている。

教育にも、教育学としての知見は数多くある。もちろん、それらが直接、明日の実践に繋がるとは限らないし、たとえば、ハッティのような研究を読むことが出来ても、その意味を正確に理解することは現場の教員には難しいし、実践につなげようとすれば更にその難易度は上がってしまう。

 

 

じゃあ、読む必要が無いのかと言われると、そういうことでもないとも思うのである。

確かに、効率という意味でいえば明日に役に立たないものに時間を割くのは非生産的だし、下手に分かった気になって妙な実践をしてしまうのも問題なのだけど、それでも学ぶ姿勢として、教育に関する研究の知見を知る姿勢は失わないでおきたい。

もちろん、統計のような研究だけが偉いとも思っていない。ある意味で、教育の現場にとっては、実践者のナラティブが重要だとも思っている。だからこそ、昭和の実践者の実践記録の言葉には迫力があるし、そこから学ぶことも多い。

 

 

大村はまの実践はとても真似できないし、人生を捧げているようなものなので、そういう生き方は自分には出来ない。でも、だからといって、自分には出来ないから実践の記録から目を背けて、明日から即席で実践できることを金太郎飴のようにくり返すことが職員室の効率化だとは言いたくはない。

今後、教室にはICTが必ず大きな影響を与える。

その時に、哲学のない効率化だけが現場の空気になるのであれば、物を考える教員は必要と無くなるのだろうなと思う。

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