コロナのせいでいよいよ非常事態な感じがしてくる今日この頃。生徒のいない学校の薄ら寒さもいやな感じである。
しかし、あまりウジウジと愚痴っぽくなっても仕方ないので、休業によって恩恵を受けたことを少し書いてみよう。
ICTに注目が集まる
これまではトラブルのイメージが先に来てしまって、「ぜひ、ICTを!」と言っても白眼視されがちであったのだが、世の中の学校がどこもかしこも遠隔授業だ!映像授業だ!課題配信だ!!って雰囲気になったので、いきなり風向きが変わりました。
「これはむしろやらないと、非常に困ることになるのでは?」という雰囲気が生まれてきたように感じます。あぁ……良くも悪くも学校は「余所が何やっているか」に弱い。
実際問題として、2週間ほどの休業によって生徒の学習指導に穴が開いてしまうことに対しては、学校内では強い危機意識がある。単純にカリキュラムが終わりきらない。そして、その終わらなかったことを挽回するチャンスも見込めない。
そうなると必然的に、どうにかしてこの休業の期間に生徒の学びを支援したいと思うのである。
外から学校の様子がどう見えるかはわからないが、おそらく想像されているよりもよほど先生方は子どもたちが授業を受けられないことで、いろいろと損をしてしまうのではないかということを恐れている。
だからこそ、自分が苦手で、虫の好かないICTであろうと、なんとか使えるものは使って、生徒にちゃんと学んでもらおうと思っているのである。決して、子どもを遊ばせるのが気に食わないからではないのです。
だから、今まであまり見たことのなかった動画授業も時間をかけて見て、どれを生徒に配信したらよいかを考えるし、どんな道具を使えば生徒のモチベーションに働きかけられるかを探っている。
まあ……良くも悪くも、ICTの便利さに気づいてしまったときに、元の学校と授業に戻れない可能性もあるのだけど。個人的にはその方が好みだけど、簡単な問題でもなかろう。
ブレンディッド・ラーニングの衝撃 「個別カリキュラム×生徒主導×達成度基準」を実現したアメリカの教育革命
- 作者:マイケル・B・ホーン,ヘザー・ステイカー
- 発売日: 2017/04/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
じっくりと生徒の様子を共有できる
仕事の量があまり多くないので、落ち着いて職員室で雑談しながら仕事をすることができる。比較的、職員室の人口密度が高い。
指導要録を書いたり成績処理をしたりしていることもあり、必然的に生徒のことを話題として雑談していることも多い。これが普段にはなかなか忙しくて出来ていないことであるのでありがたい。
高校は当然ながら教科担任なので、自分が関わる生徒の数は多い。しかし、多い分だけ、一人一人の生徒を理解するために使える時間が多くない。本当は生徒のことをよく理解して授業もしたいのである。
生徒の情報を得るために効率的な方法が、職員室での雑談なのである。
生徒のことは担任がやはり一番よく知っているし、そうでなくても、教科によって見せる表情が全然違うのである。
生徒の様子を色々な人とやりとりできることは、四月以降に地味に生徒を支援する意味では効いてくるだろうと思う。逆に、せっかく時間があるときであるのに、生徒の情報をあまり増やせないのはもったいない。
色々な実験ができる
正直、仕事もそれほど多くないので、普段やらないようなことをやっていることも多い。例えば、教科室に眠っている道具を引っ張り出してきて「これ、授業で使えないかな?」とか、使ったことのないWebサービスを広げて「授業でやれるだろう!」と布教したり……。
いきなり時間のない中でやろうとしたら苦しいことになるが、こうして余裕があるときに遊びながら使ってみるというのは面白いかもしれない。
地味に普段は手の回らない箇所まで掃除したり、故障しているところを直したり……。
何か面白そうなことをやっているなとみてもらえると、ICTはもっと広まりそうな気がしているので、ちょっとここが悪巧みのポイントですな。
そして何よりも……
臨時休業で一番大きいこと。それが有休を消化できること。定時で帰れることである。
普段の学校でこれがどれだけ難しいことか。特に、有休を消化するなんて夢のまた夢。有休どころか土曜日に出勤している分の振り替えさえ余っているんだから…。
先生方がしっかりと休めるというのは大きいかもしれない。