今月の『教育科学国語教育』はICT特集だ。
個人的な驚きとして、この手のICT活用紹介の時に、ピンポイントにサービスを絞ってくることは珍しいので、この特集号が「Google Workspace for Education」と「ロイロノート」だけで特集を組んでいるのに驚き。
GIGAスクールの勝者が誰なのかということを暗示してしまっているような…。
個人的にはGoogle Workspace for Educationを一番使い倒していますが、実はAppleもMicrosoftも使っているので、ここまで割り切った特集というのはなんかすごいなと思ったのである。
内容は初心者向け
なんだか使い慣れた立場から見ると「もっとやれるのに!!」という気持ちがするというのは正直なところだが、その分、基本的なところからかなり丁寧な説明の仕方になっている。これは編集上のコンセプトなのだろう。全国のどうしたらいいか困っている先生方に、しっかりとメッセージとして届くような書き方にしているのだろうと思う。
操作画面の流れまで丁寧に説明してくれているのはかなり親切である。
職員室の現実を考えると、こういうステップバイステップの指南書があることで、「じゃあ、仕方ないからやってみよう」という状況になったときには助かるのである。自分でこういう丁寧な説明を作ろうとすると、面倒な気持ちがもたげてくる。
様々な素材とICTを組み合わせてどうやれば授業ができるのかという手順が分かりやすいのは非常に親切だろう。
賞味期限は長くはないかも
ただ、この手の実践紹介は、賞味期限は長くはないかもしれない。
なぜなら、ICT関連のサービスは日々、日進月歩で進化しているのである。だから、こういう特集が難しい理由の一つが、例えば、Googleのアップデートの気まぐれによっては、原稿が世に出る前に同じことができなくなる可能性がある。
一年前に出ている解説本が、少しずつUI含めて変わってしまっているのと同じように、この本も本当に現場に活かそうとしたら、早めに読むことがよいのかもしれない。
もちろん、実践を支えている素材の性質の見極めや授業づくりの観点は簡単には陳腐化しないと思います。ただ、ツールは賞味期限が長くはなく、常にアップデートにさらされているということは、教える側は知っておくべきだろうと思うのです。
これが、日本の教育産業のツールなら、学校の顔色をうかがってだんだんと陳腐化して使いにくいのに変わらないままで……という状態になるだろうことを思うと、現場の都合おかまいなしに、使いやすさや利便性のためにアップデートが繰り返されるサービスの在り方に大きな差を感じる。
常に使い方を勉強し続ける時代なのでしょうね。我々教員は。