教育現場は忙しい。あまり忙しい忙しいと言っていると格好悪いのだけど、物理的に拘束されがちなので、なかなか自分の時間が取れないのは事実……。
ただ、子どもたちに本を読んでほしいと願う以上は、教員である自分たちも本をちゃんと読みたいところだ。
読書は知識を深め、授業を豊かにするためには欠かせない。しかし、限られた時間の中で、どうやって最大限活かせる読書を実践できるのだろう?
この記事では、自分が普段行っている、時間を賢く使って、授業に役立つ読書を少し紹介しよう。
ストレスフリーな読書のために
日常のストレスが大きいのでせめて読書くらいはストレスを感じずに進めたいところである。
そういう観点から考えたときに大切になるのが、あまり一度の読書に過度な期待をせずに気軽に始めることである。
雑な記録や雑な印でも10冊分を貯めた方が、いつまでも進捗しない読書よりも効果があるということは忘れてはならない。
後からの活用を考えた時にとにかくハードル低く、一番手っ取り早く情報をため込めるのは付箋を使うことだ。公共の図書館の本や稀覯書には使えないけれども、直接書き込んでも買わない市販されている本であれば、どんどん付箋を使った方が良い。個人的には行の幅とほぼ同じ付箋が便利だと感じている。
逆に自分は本文にペンを持ちながら書き込むのはあまり好きではない。ペンを持ちながら読書をするのが煩わしいのと、せっかく何かを書き込んでもどこに何を書いたのかが分からないのでは再利用がしにくいのである。
付箋であれば、色を使い分けつつ(細分化すると面倒なので暖色系と寒色系くらいの分け方で良いと思う)本からちょっと出る程度の貼り方をすると後からどこに何が大切だったかを見つけやすい。
書評を書くときにはだいたい付箋に貼ったところから「ポジティブな話題」と「ネガティブな話題」を選んで引用しながらまとめると、本書の筋を覚えていやすいのである。
しかし、この方法は電子書籍だと上手くいかない。また、付箋を貼れないものについては別途まとめる必要がある。
その時に役に立つのがアプリなのである。
教員のための読書アプリの活用
個人的にはBookNotionは好きだ。
ただ、BookNotionはもはやサブスクリプション加入しないと使い物にならないことや初期設定がNotionを使っている人でないとイメージつきにくいことやせっかくサブスクリプションしてもKindleのコピー制限の上限にすぐにひっかかってストレスフリーに使えないことは結構ネック。
同じくらいの手間をかけるのであれば、もう少しハードルが低く、紙の本にも使えるのがbiblogである。
紙の本を簡単にデジタルメモに保存できるのはかなり便利。
残念ながらbiblogは本当にシンプルに記録していくだけなので、整理にはまったく適していない。だから時々、棚卸ししてやらないといけない。
そういう時に読書記録としてはやっぱりデータベースとしてのNotionは強いんですよねぇ……整理が面倒になってサボりがちですけど。まあ、サボってもいいや、必要なことはどこかで再度めぐりあうくらいの気持ちで良いのかと思います。
授業に活かす資料の見つけ方
記録の取り方の話はしたけど、そもそもどうやって読む本を見つけるかという話も紹介しておこう。
授業に活かす……と考えると明治図書や東洋館出版などを手に取りがちである。自分もよくお世話になるのであまり文句はない。
ただ、教育実践書であれば、こういっちゃなんだけど読書メモを取るまでもないし、あまりメモを取ることに一生懸命になる必要も無いかと思う。
なぜか?
教育実践のための本であれば後生大事にメモして貯めておくよりも、明日の授業で試しに一つ二つ追試してみた方がよいからである。実践書は実践してナンボである。だから読み方としても熟読よりも拾い読みして必要なところを見つける、全部を無理して読もうとしない割り切りは必要だろうと思う。それができないと積ん読はたまる一方である。
実践書ではなく、授業に役立つ本をどうつけるか……それは、まあ、運としか言えない……と言ってしまうと身も蓋もないのでもう少し掘り下げよう。
要するに、役に立つという観点で読もうとすることを言ったん手放せば良いのである。結局、授業が面白くなるかどうかということは、意外なことに意外なつながりを見つけ出して思考が大きく動くときなのだから、明日役立つという下心を諦めて読めば良いのである。
どうしても授業のことを……というのであれば、少し読むのに骨が折れる実践の本を読んでみれば良い。新評論の本だとかはなかなか手強い。
何冊か読んでいくうちにつながっていくものである。
心配しなくても読めば読むほどに気付くことがある。逆に言えば読まない限り、絶対に読めるようにはならないのである。当たり前だけど、実践できない。