ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

その添削、軽くないですよ。

The filing area.

愚痴ついでに、季節ネタの国語の先生あるあるでも。

そろそろ時期的には下火になってきているけれども、少し前までは指定校推薦や公募推薦の志願理由書などの準備に受験生は追われていたと思いますが、それと並行して国語の先生は生徒の小論文の添削がたくさん依頼されます。

しかし、依頼する方は気軽でも実は見る方はそれほど楽ではないんですよ……という話。

書類の添削は神経を使う…

大学や入試の形態によってその書類の持っている重要度の違いは、経験則でなんとなくわかるんだけど、だからといって依頼された書類を適当に軽く読み流すこともできない。

依頼する方としては「軽く見ておいてよ」というんだが、手書きの字を読むのは案外疲れるし、さすがに誤字や日本語が変なものを見落として「大丈夫」と言ってしまうほどいい加減な仕事をしたくはない。

だから、「国語の先生だからできるでしょ」というノリで渡されても、結構、負担としては大きい。

まぁ…生徒の顔がわかると断れないんだけど。

よく知らない生徒の作文の中身をいじるのは勇気がいる

負担の重い、重くないという話は、まあ、こちらは国語科という看板を背負っているので、別に業務として織り込み済みな部分はあるので構わないのだけど、それよりももっと致命的に困るのが「よく知らない生徒の小論文の中身についてはコメントのしようがない」ということだ。

その志願理由書や小論文がどこまで入試で見られているのかということについては軽重があるにせよ、依頼された以上は「これでは困る」と思うことを見過ごすことは不誠実に感じられる。

しかしながら、生徒のことをよく知らない、第三者の自分が「この内容ではよくない」ということをいきなり言い出してしまうと、書類作成のスケジュールがご破算になったり生徒にいらぬ不安を与えてしまったりとあまりよい結果にはならない。

なお、根本的に「あぁ……これはもうゼロからやり直しだ…」というのがわかるのに限って出願の直前に話を振られるという…。

生徒にいらぬ不安やスケジュール調整がつかないのであれば、生徒になじみのない担当に添削を振るのはリスクが大きいのです。

一般入試のほうがラクですよ…

指定校推薦や青田刈りの推薦入試ならともかく、人気のある大学の推薦入試はそれなりに根拠がなければ受かりません。特に、国立の文系の推薦入試は書かせる量から見ても一筋縄ではいかないのですが……受験生(やその保護者)には「チャンスが増えるなら…」と宝くじを買おうとする人が後を絶たない。それに教員まで「宝くじ当たれ」と言わんばかりに根拠のない出願させるのだから困ったもので……。

全国出場だとか留学経験があるなどの実績がある場合を除いて、テンプレート通りの作文では、人気のある大学の推薦入試は通りません。特に学力で入るのが難関な大学が学力試験を課していないような推薦入試の志望理由書は、その志望理由書で学力があることを示せるようなレベルの内容が書けていないのであれば、一次試験は通っても、結局、最後は落とされる。

そもそも、興味関心がないのにその学部の倍率が入りやすそうだから……というのが透けて見える志望理由書を添削するのは苦痛である。ゼロから叩き直すことになるけど、まともに言いたいことを言ったら生徒に泣かれるか激怒されて終わりである。大人だからそんなことしないけど、「ダメなんだがなぁ……」という不誠実さをもやもやと抱えることになる。

一般入試のほうがラクですよ……難関校であればあるほど。

簡単に小論文を投げてこないで

そんなわけで、言いたいこととしては「教えている人が責任もって書類は見ましょう」ということである。国語の先生だからと言って、教えてもいない生徒の書類を見ても何もできないんです……。

そもそも、言葉遣いや誤字脱字の推敲程度でいいのであれば、国語の先生に振らなくても大人であればそれくらい分かってくれ。

誤字脱字程度の推敲もしないで、国語の教員に仕事を投げるのは、それは体のいい手抜きだということを申し上げておきます。

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