本日も三学期に向けて読書関係の話を流し読み。
あすこま先生が公開研究会でミニ・レッスンに使っていた記憶に基づいて(うろ覚え)、自分も三学期にリーディング・ワークショップを行うために、ミニ・レッスンのネタを探すために読んでみました。
まあ、体調もよくないので、軽めなものをキンドルでグダグダと読んでいます。
それにしても、風邪が治らない。
自分の読み方を自覚することの意味
本書の狙いは次のように冒頭に述べられている。
「読む」技術を向上させるには、無意識のうちに身についた自分自身の読み方の癖の姿を知らなければなりません。本書は、自分なりの読み方、「読体」を対象化し改善する目的を持っています。
「読む」技術を向上させるために、いろいろな読み方についての理解を深め、自分の「読む」ときの癖を自覚し、意識的に様々な技法、ストラテジーを使いこなせるようになろう!という本になっています。
そのために、本書では「速読」「精読」「味読」のように読み方を分け、それぞれの場面でどのような技を使って、我々が文章を理解しているのかということを説明している。
普段、何気なく使ってしまっているけど、定義が曖昧で何を意味しているのかよく分からないような言葉についても、一つ一つこの本の中ではこういうことだということを説明した上で、それぞれの技法について説明しているのもわかりやすいし、勉強になるポイントだと思う。
例えば
誰が読んでも基本的に共通した内容に到達するのが理解です。それにたいして、読み手によって異なる内容に到達するのが解釈です。解釈は、読み手一人ひとりの個性によって、文章に新たな価値を付与する創造的な行為です。
理解と解釈のちがいをわかりやすく説明した文だ。
国語科教育で最近ちらほらと「学習用語」をどのようにするのか、そもそも曖昧ではないかということが話題になっているけど、「理解」だとか「解釈」だとか、どういう意味なのかはっきりしないで「なんとなくこういうこと」というイメージで使われる言葉だ。生徒に「解釈を書け」といった具合にね。
しかし、思えば、イメージがあいまいでうまく説明できない言葉が学習に必要な言葉として使われているってなかなか難しい問題だよなあ。
ミニ・レッスンのヒントがいっぱい
当初の目的通り、やっぱりこの本は「読む」ことの技法を紹介している本だけに、ミニ・レッスンのヒントになる内容がたくさんある。
「優れた読み手の技法」については
理解するってどういうこと?: 「わかる」ための方法と「わかる」ことで得られる宝物
- 作者: エリン・オリヴァーキーン,山元隆春,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2014/10/01
- メディア: 単行本
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リーディング・ワークショップ?「読む」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ《ワークショップで学ぶ》)
- 作者: ルーシー・カルキンズ,吉田新一郎・小坂敦子
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2010/07/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 10人 クリック: 53回
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このあたりの本に色々と紹介されているのだけど、海外の文献ということもあって、案外、理解が難しい。
しかし、本書は日本語の本であり、挙げられている用例も日本語の文章であるので、わかりやすさという点で言えば、遥かに説得力があるし、また、一つ一つのストラテジーの説明に割いているボリュームが本書の方が多いため、わかりやすい。
去年のリーディング・ワークショップでうまく行かなかったのがミニ・レッスンなので、今年はちょっとこれをネタにして再チャレンジかなあ。
いろいろな読み方ができることが大切
こうして「読む」ということが色々なレベルから成り立っていることを考えるたびに思うのが、やはり「読む」時間が圧倒的に授業の中で足りていない、「読む」方法について非常に一部のことしか教えられていないんじゃないかということだ。
読解では、TPOに合わせた読み方が求められます。逆にいうと、私たちは目的におうじて読み方を変幻自在に変える方法を身につけておかなければなりません。
この一文が、意外と国語教育にとっては重いのではないでしょうか。