明日から令和ですが、淡々といつも通りに読書しています。本日はこちら。
- 作者: スターサックシュタイン,コニーハミルトン,Starr Sackstein,Connie Hamilton,高瀬裕人,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 新評論
- 発売日: 2019/04/12
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いかんせん、教えている生徒の数が今年は多いので、自分が全員を丁寧に見ることが非常に難しいのです。だからこそ宿題の方法を工夫しなければいけないと考えているところです。
宿題の前提を疑う
『宿題をハックする』の論旨は非常に明確だ。
これまで教員や保護者が子どもに対して当たり前だと思っている「宿題」の課し方、やらせ方をゼロから問い直していこうというものである。
ただでさえ長時間学校に拘束される子どもたちに、むやみやたらに宿題を課してがんじがらめにしてしまうことが本当によいことなのか、宿題以外の様々な場面での子どもたちの活動が子どもたちを育てるということを考えなければいけないのではないか、そのような発想でさまざまな工夫(=ハック)が書かれています。
もちろん、重要なのは宿題そのものを放棄するという話ではなく、子どもたちの成長や学びという観点からどのような工夫が可能なのかという議論なのです。
だから、内容の精査ももちろんですが、子どもたちが自分でどうやったら自分の学びを管理できるようになるのかという観点での工夫や、どのようなフィードバックが子どもたちをエンパワーするのかということが中心となっている。
考えてみると、ついつい「これが必要だ」という思いから、大人は多くを生徒に求めがちである。しかしながら、こなしきれない宿題が生徒に与えられて予定調和にこなすことができなかったとなると、生徒に様々な負のフィードバックを与えることになる。
宿題を出さなかったことへの叱責、予定を管理できないことへの叱責、能力が足りないかのように扱われること、別にやらなくても構わないものだと思うようになる……まあ、教員にとっても生徒にとっても苦しくなるばかりである。
最小限の投資で最大の効果を
本気で生徒一人一人を追跡できて、一人一人に適切なコメントやアドバイスをできるのであれば、宿題の管理が問題になることはあまりないだろう。これまで通りの出し方でもフォローができるのであれば、それほど苦しくさせないで済む方法を見つけ出せる。
しかしながら、現実的には生徒を100人以上を抱えることは、教員であればザラにあり、そのような状況で一人一人を完璧に追いかけて助言するというのは、かなり無茶があるだろう。
生徒からすれば終わらせられもしない宿題に苦しめられ、教員は終わらない宿題をいつまでも追いかけることになったり、出してきた宿題に中途半端なコメントを付けて返したり……お互いに損ばかりである。
根本的には、生徒が「自分で決める」ということができるようになることが重要である。「自分で決める」ということで、宿題に限らず、様々な学びに対して前向きになるし、確実に自分にとっての一歩を進めることになる。
しかし、現状のシステムにおいては「自分で決める」ということでは、バラバラになり、授業が成り立たないのではないかという不安が教える側にはあるだろう。一律で宿題を課したほうが、間違いなく管理はしやすいし授業の計画も立てやすい。
様々なことの組み合わせで、学校の学びが成立している以上、宿題だけの工夫ではなく、授業なども含めて組み立てを考えなおす必要がきっとどこかではあるのだろうなぁと思う。ぼんやりとした言い方しかできないのは、話が大きくなるほどに、動かすことが難しくなってしまい、なんとなしに現状維持になってしまうだろうと思うし、だからといって今のままでも苦しいしなぁ……という中途半端に答えの出ない迷いの反映である。
思い切って捨てる
人数を大量に抱えている以上、思い切って捨てる方向で考えてみないとダメだろうとおも思っている。
ただ、逆に諦めが、気楽なフィードバック、つまりは声をかけたり少しだけ線を引いたりでいいやという割り切りになっている。そういうフィードバックだけでも、生徒はちゃんと反応してくれているし、割り切りながらも、マメさは失ってはいけないのかもなぁ。一回の質よりも反応する量。
— ロカルノ (@s_locarno) 2019年4月30日
生徒へのまなざしの有無は生徒はよく感じているように思う。
この少ない一手間だけで、授業の話合いをかなり支援することもできる。生徒が課題にやってきたことをそのまま話合わせても上手く行かないが、一つ指針になることを印付けるだけで、話合いの雰囲気が変わる。
自分たちで考えたことを起点としながら、うまく次のステップに進めるような足場づくりをできると思う。
課題についても、どこまでできるかを選べるような課題でいい気がしている。課題で到達できたところの差異から、お互いにお互いの発想の違いや見ているものの違いを学び合ってくれるところから始まれば良いと思うし、そうした差異を活かした授業中の助言はできるように思う。
ようこそ,一人ひとりをいかす教室へ: 「違い」を力に変える学び方・教え方
- 作者: キャロル・アントムリンソン,Carol Ann Tomlinson,山崎敬人,山元隆春,吉田新一郎
- 出版社/メーカー: 北大路書房
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- 作者: C.A.トムリンソン,T.R.ムーン,山元隆春,山崎敬人,吉田新一郎
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- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こうした発想につながるのがこれらの本だけど……これらの本で紹介されているような徹底はちょっと一人の力では難しい。
今、すぐに、自分から手軽に始められることの落としどころはどこにあるのだろう。