ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

QFT(質問づくり)に関する覚え書き

f:id:s_locarno:20200623211531p:plain

最近、たまたま質問づくり(QFT)について関わる機会が多かったので、QFT警察を久々にやっておきます。

このブログの過去記事

何度か記事にしているので、言いたいことは大分言い尽くしている。

以下の記事を辿ってもらうと、何となくQFTの情報は断片的でも揃っている…はずである。

www.s-locarno.com

www.s-locarno.com

www.s-locarno.com

www.s-locarno.com

どこかでちゃんとまとめないと……とは思うけど、まあ、今は時期が悪い(謎)。

参考書籍など

QFTを始める時に参考になる書籍や先行事例の載っている書籍の紹介。

何よりも優先して、まずはちゃんとこの翻訳書を読みましょう。全てはここからである。時間が無いというのであれば、公式サイトのリソースを読みましょう。英語が多いですが、日本語のものもいくつかあります。

rightquestion.org

なぜ、ここまでうるさく本家を読めというのかというと、後述するが、QFTはブレーンストーミングとは少し毛色が異なるので、きちんと型を守ることが望ましいからです。
続いて、実践例などが紹介されているもの。

Q思考

Q思考

 

RQIの話が出てくるのは少しだけですが、全般を通じて「どのように問えば良いか」「問うことにどんな価値があるか」ということを実例を挙げて解説しているので、生徒に問うことの価値を語るときに持っておくと強い一冊。

教育科学 国語教育 2018年 03月号

教育科学 国語教育 2018年 03月号

  • 発売日: 2018/02/13
  • メディア: 雑誌
 
教育科学 国語教育 2019年 01月号

教育科学 国語教育 2019年 01月号

  • 発売日: 2018/12/12
  • メディア: 雑誌
 

手に入れやすいところの実践だとこんな感じ。

ネットのリソースだと…

53枚目のスライドに日本の事例が載っています。国語教育にも実践を紹介されている椿山美紀先生のご実践です。

椿山先生のご実践は、2020年6月『国語教育研究』No.578にも掲載されており、質が非常に高いので、ぜひ、QFTに挑戦されるのであれば、ご参照していただくのがよいと思います。

QFTの実践の勘所について

個人的に、QFTについて思うこと。実践してきてポイントだと思うことをいくつか。

1.逆向き設計で考えた方が良い。

f:id:s_locarno:20200623214725p:plain

(QFT-レッスンプラン-ワークブックより転載)

公式のワークブックにも書いてあるとおり、QFTを授業で使おうと考えるときには、最初に「ゴールの特定」から入るべきだろうと思う。

これは別に個人的にはQFTに限った話ではなく、どんな授業を行うにしても、基本的にはゴールのイメージにある程度の確度をもって授業に臨みたいところである。

2.手順は公式のルールを守る

これが一番大切だと思っているのだが、QFTを行うならば、ちゃんと『たった一つを変えるだけ』を読み、QFTの思想や手順をよく理解してから行う方が効果が高い。さもないと、ただの手間のかかるブレーンストーミングになる。

個人的に、特に重要だと思うのが、QFTの特殊なルールである「4つのルール」について、あらかじめ生徒同士でどうなるかを予想したりQFTを体験した後にそのルールについて振り返りを話し合ったりという過程があるのだが、その過程をきちんと生徒に体験してもらうことが重要だと思っている。

色々な理由はあるのだが、一つはQFTがただのブレーンストーミングにとどまらず「民主主義の感覚を養うためのワークショップ」という側面があるからである。決められた枠での質問づくりを行うことで、発言が他の手法よりも誰もが平等であることが保障されやすくなるし、ルールについて振り返る過程を通じても、発言のあり方などを振り返ることになる。そのようなメタ認知の過程が非常に生徒に好影響を与えていると感じている。

そもそも『たった一つを…』が100ページを過ぎたところで、やっと生徒が実際に質問づくりをしている様子が描かれる……裏を返せば、100ページまではひたすら前説をするくらいに、背景となっているところが大切なのである。

3.継続すること

質問づくりにしても、ただの手法として捉えているなら、あまり反復する意味は無いのだが、教室の文化を創ることや対話的な人間関係を育てることを考えるのであれば、継続して使い続けることがやはり重要である。

「問うということ」自体が、意識的に訓練しないと、5W1Hを取って付けたようなものしか出てこないのである。しかし、質問を続けることで、一つの事象を様々な角度から見ることがだんだんと習慣化されて、よい質問も出てくる。

4.質問の焦点をよく考える

QFTで一番困るのが何かというと、「質問の焦点」である。一応、公式ワークブックには…

f:id:s_locarno:20200623220006p:plain

こんな形でチェックリストなどや「質問の焦点」の作る手順なども書かれているのだが……それでも難しい。

しかし、この「質問の焦点」が上手くいかないと、思考が拡散しっぱなしになる。「質問の焦点」によって、学びの質と深さと方向をコントロールしていると言ってもよいのだが、何よりも「考えてみたくなる」という刺激の度合いが変わってしまう。

最近、学んだのが「俳句」のような切れ味と余韻があるような焦点を提示すると、良いんだなぁと言うことです。

え…わからない?

自分もよく分かりません。

まずは実践……の前に本を読もう

最近はブログなどでもQFTの方法は見かけるようになったのだが、どうしても「背景」が非常に長いので、方法しか紹介されていないことが多い。

そのため、安易にネットの記事だけ読んで飛びつき、ただの質問のブレーンストーミングになってしまうんじゃないか……という懸念がある。いや、自分も結局、方法ばっかり書いているので人のこと言えないのだけど。

だから、やはりまずは、何か実践をしようというのであれば、元々の出典に当たりましょう。

本を買うくらいの投資はして、実践はしたほうがよいですよー。

 

 

Copyright © 2023 ならずものになろう All rights reserved.