ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

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【書評】ICTで書く授業をどうしよう?

GIGAスクールのおかげでどんどんとICTを活用した実践が進展している今日この頃、また素晴らしいアイデアが詰まった一冊が発売になりました。

コンプリートガイドとは強気!

様々な書くことを考える

本書は4部構成になっているのだが、その中でも注目すべきはChapter1とChapter3だろうと思う。

Chapter2はツールの利用方法の詳細な解説となっており、Chapter4はツールを活用した単元展開の提案になっている。

ある意味でこれらのChapterはこれまで発売されてきたICT関係の本では多く見られた構成である。活用に現場が慣れ始めて、単元の構成がだんだんと複雑で高度なことをやれるようになっていることが読んで分かるのが面白いところであるが、それ以上に面白いのが前述の通りChapter1とChapter3なのだ。

Chapter1は「基礎指導編」というタイトルの通り、「ICT」を用いて「書くこと」を考える時に必要となる観点が述べられている。重要なのが「ICT×書くこと」の「基礎指導」だということである。

例えば、「タイピング」についてどのように考えるのかということやデジタル・シティズンシップ教育との関連をどう考えるのかなど、「ICTを使って書く」という観点からの「基礎指導」をここまで詳細に説明した本はこれまでなかったので、その点の新規性が重要だろうと思う。

これまでも雑誌の記事でICTで書くための基礎指導に何が必要なのかという話題は出ていたが、体系的・網羅的にある程度必要なことを整理した本書の意義は大きい。

また、Chapter3の「ミニ活動アイデア」はICTの習熟を考える時には非常に参考になることが多い。一つ一つのアイデアは比較的シンプルに取り組むことができ、真似しやすいものが揃っていると感じるが、ICTの特性を上手く活かしたアイデアが多く、またこういう活動を重ねていくことで、高度で複雑な操作ができるようになり、授業の幅が広がるだろうと考える、栄養価の高いアイデアが多い。

比較的、ロイロ色が強い印象

実践の対象が小中学校であるということもあってか、ロイロノートの実践例が比較的多い印象だ。もちろん、AppleやGoogleやMicrosoftのツールを用いた実践も述べられているので、決してロイロノートがなければ役に立たないという本ではない。

また、実践のアイデア自体もロイロを使っているものの、ロイロ独自の機能をゴリゴリと使わなければできないようなものではない。例えば思考ツールなどは他のホワイトボードアプリを活用すれば再現することも可能だ。

実践するときの準備の量やお手軽さという意味ではロイロがあれば理想的なのだろうけど、ロイロノートがなければできないという訳でもないのは重要な視点である。

特定のツールに依存すればするほど、卒業後に子どもたちにとって役に立たなくなる可能性が高くなる。

教員の授業のしやすさは生徒の汎用的な能力につながるわけではない。

だからこそ、裏を返した言い方になるが、Chapter1の「基礎指導編」の価値がいっそうに高いとわかっていただけるだろう。ツールに関係なく、ICTを活用して書く力とは何かを考えることの意義が分かるだろう。

ちなみに

ちなみに少し気が早いですが来月の『教育科学国語教育』がICTと書くことの話題です。

本書の著者の先生方も数多く寄稿されている様子なので、本書と並べて読み比べてみるのが楽しみなところです。

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