これまでの自分の国語総合の実践の一年間のゴールとしては、なんとなく「自立して文章に対して読み書き、対話ができること」を考えていたように思う。
今年の高1が最後の国語総合になるので、そんなことをぼんやりと考える。
表現は経験値がものをいう
何かを表現するということを自立してできるようになるためには、膨大な時間の経験値が必要だろうと感じている。
圧倒的に50分一コマの授業では、訓練のためには時間が足りていないと感じているし、週に2単位しかない自分の授業では、週辺りの訓練の時間も絶対的に足りていないと感じる。
もちろん、授業を通じて生徒には「読み方」なども教えなければいけないし、勤務校の性質上、受験対策のようなこともしなければいけない。
しかし、それはあくまで脇道や備えみたいなもので、本来、授業の王道にあるべき事柄ではない。
授業では1秒でも多く、1秒でも長く、読んだり書いたりする時間をとって、生徒に自分を鍛える時間をとってもらいたいと思っている。
究極的には、リーディング・ワークショップやライティング・ワークショップが望ましいよなあと思っているが、残念ながら自分の持っている環境だとそれが厳しい。もう少し余裕のある授業ならば……と思うことは多いが、無い物ねだりをしても仕方ないので手持ちの時間を工夫したい。
自分の高1指導の一つのゴールは、リテラチャー・サークルのようにある程度の支援があれば、自分たちでしっかりと読み書きできるということを目指している。
奇をてらわず、典型的な実践をしています。
授業の流れ
高1として、以下の流れがしっかりと確立されていれば、よく一年間勉強できたなあという感触である。
- 授業で決めたテーマについて、予習の形で自分で読んで、意見やアイデアを書いてくる。
- 授業の中でミニ・レッスンで読み方や書き方のコツや手本を学ぶ。
- 授業の中で十分にテーマに沿って話し合う。自分たちで新しい問いを立てる。
- 話合いの内容をふり返り、自分の言葉できちんとまとめる。
- まとめた内容を他のグループに口頭で発表して伝える。
- 自分たちの話合いの質そのものをふり返り、文章にまとめる。
50分の中でこれだけ読み書きとふり返りが安定的に回れば、最低限、高2になってもらっても恥ずかしくないと思える。
高1でこのくらいまでたどり着いてくれれば、定番教材の「山月記」について、語りの特徴に注目して読んだりや原典を参照しながら読んだりできるようになると思うし、「こころ」も教科書掲載部分以外についてもちゃんと自力で読み、感想を語り合うだけの下地はできるだろうと思う。
授業の力点としては「生徒の話し合う時間をできるだけ長く持つこと」と「話したことを書き直すこと」にある。
読んで書くという本番を何度も経験しなければ、力は伸びないのだ。
ミニ・レッスンについて
ミニ・レッスンについては、教科書の本文を引用して読み方を教えたり文章の書き方を教えたりするのが定番であるのだけど、これが自分はあまり上手くない。おそらく自分があまり読み書きに熟達していないのが原因だろうと思っている。
最近、ちょっとした工夫として行っているのが、ミニ・レッスンで本文の読み方や文章の書き方を教えるときに、「生徒の感想」を活用することである。
生徒から出てきた表現を使って「今、教えたミニ・レッスンの内容はこういう表現が出来ることだ」とか「こういう言葉遣いをすると、読み方が出来ていると分かるよ」とか、生徒の書いたものをテクニックとして分解して共有するという方法を取っている。
生徒の書いてきたものをちゃんと価値づけるということで、自分たちが読めているのだという感覚を後押ししたいと思うし、身近な生徒同士の言葉だからこそわかりやすさもあると思っている。
授業の間の教員の仕事
評価が仕事だろう。
もちろん、それは総括的な評価として、ABCという格付けをすることが目的ではない。
形成的評価というと聞こえ方が堅いが、要するに生徒の話合いや書いていることに後押しをするイメージだ。悪いところをあまりあげつらうよりも、よいところをプッシュした方がよい。
もちろん、記録としてデータを残さなければいけない部分もあるので、質的が代表的に分かる事柄については手控えを作ることになる。
授業の学習のてびきとして配布しているドキュメントのコピーを作り、そこにコメントで追記していく形だと教えていることと生徒の反応が結びつきやすい感じがある。Google Keepに写真とセットで残すこともある。
手控えを上手く作れないので、この辺りは自分の修行かなぁ……。
スプレッドシートで名簿を作って、書き込んでいくのはあまりイメージがつながらないので個人的にはイマイチです。生徒の授業の姿が活き活きと再生できる方法を常に模索している。
時間が足りない
授業をやっているとあまりに慌ただしい。
読み書きに没頭する時間が少ないことが非常に勿体なく感じている。