ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

心があるかどうか

期待通りのよい本だった。

前田先生のこの「まんがシリーズ」は本当にどれも外れがない。

忙しくて本が読めない方であっても、30分あれば一番美味しいところをしっかりと受け止めることが出来るような構成になっているので、本当にこれは手に取って読んでほしい。一冊読むだけで、まったく今の教室の見え方が変わる。

www.s-locarno.com

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教室の解像度

このシリーズがとてもよいと感じるのが、それぞれの登場人物の先生方によって、同じ教室が全然ちがう見え方をしていることを非常に巧みに描いている点である。

そして、その「見え方」の違いがあることが活かされて、最終的にしたたかなで伸びやかな学校や教員集団の姿が描かれている。

実際、それぞれの教員で学校や教室の見え方は全く違う。実際に学校で働いていればよく分かるが、同じ現象を全然ちがう見方をする先生方が集まって学校が動いている。その違いが上手く噛み合っている時は強いが、ズレが大きくなって噛み合わないとなんだかギクシャクとしていくのである。

そういう見え方の違いがとにかく巧みに描かれている。まさに、「職員室の会話」がマンガの中で再現されているのである。

だからこそ、このシリーズの結末に描かれる希望は、今の学校の枠組みで実現可能だという希望が湧いてくる。

探究する学び

今回の本はICT、テクノロジーをめぐる難しさを描きつつ、ICTやテクノロジーの問題を超えていく。この本の最終章がデジタル・シティズンシップで締めくくられることは、ある意味で非常に象徴的である。

教室での子どもたちの日常の姿やテクノロジーのあり方や教員の考え方など、すべてがちゃんと繋がっているのである。

最近の議論として、「学校に色々なことを増やしやがって」という意見をかなり聞くようになっているのだけど、そういう意見に対して「すべてつながっているのだ」ということを説き、安心感のある語りでその方向性を伝えてくれている。

教員の仕事は楽ではない。

でも、苦役ではないんですよ。

そういう可能性を感じることが出来る一冊なので、是非とも読んでほしい。

豊富な参考文献とともに

本書で気持ちが上向いたのであれば、本書をささえる豊富な参考文献に手を伸ばしてみればいっそう、気持ちが前向きになれるだろう。

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