学年末を無事に終えたので、本日は気楽な読書。「ビブリア古書堂」シリーズの最新刊を読む。
気付けば扉子シリーズも第四巻に。本書だとシリーズの最初にはまだ幼子だった扉子も女子高生に。
今回は夏目漱石の書籍をめぐる事件
今回、物語のカギとなっていく希覯書は夏目漱石の本。物語の重要な点になるので具体的な説明は避けますが、鎌倉の文士達が立ち上げた貸本屋「鎌倉文庫」と夏目漱石の初版本をめぐっての様々な事件が展開されていきます。
今回の物語の面白いところは、篠原家の智恵子、栞子、扉子の三代が漱石の本をめぐってそれぞれの物語を展開していくところですね。
これまでのビブリア古書堂を読んできた読者が、今まで想像するしかなかった時代のことが描かれているため、このシリーズのイメージがいっそう広がったような気がします。
特にこれまではある意味で不気味な印象が先行している智恵子について、これまでとは「異なる視点」で明らかにされたことで、かなりイメージが変わったように感じます。
栞子シリーズでは難しいままに棚上げにされてきたことが、少しずつ変化してきているような印象を受けます。そして、その変化が今後のシリーズでどちらに転んでいくのか分からないという一抹の不安を感じさせつつも、物語は軽やかにエピローグを迎えます。
それぞれの物語が生まれていく
本書で最も重要なことは、智恵子と栞子について「異なる視点」から描かれたことだと感じています。
今までのシリーズと少しずつ見え方が変わってきているからこそ、ビブリア古書堂の篠原家三代をめぐる物語についても、変化して行かざる得ないのだろうなと予感させられます。
今回は三人の物語が一冊にまとまっているため、一人一人の物語については非常にコンパクトにまとまっているために、もっと色々なことを知りたいのに…という気持ちがかき立てられます。
うーん……次のシリーズが出るのはいつだろう。ちょっと、ここでお預けをされるのは我慢しがたい(笑)。
気軽に読めて、それでいて短絡的によい話になるのではなく、色々な人間模様に考えさせられるお話となっているため、この休暇の時期にぴったりでした。