考査の一番の難敵は膨大に積み重なる答案である…。高校は週2コマなどなので、持ちクラスが多く、採点の枚数が非常に多くなりがちなのだ。
挑戦すべきこと
デジタル採点については以前に詳しく書いている。
機械の操作の得手不得手があるので、一概に手間が省けて早くなるとまでは言えないところだが、採点結果の集計とデータ出力という意味では、手採点とは比べものにならない。
手採点したものについて、イチイチ設問ごとに得点率や選択肢であれば設問ごとの選択率を出したり、部分点の分布を出したりということは一人で200枚近くあるものを対応するのは不可能である。
デジタル採点をしておけば、採点さえ終われば、データはいくらでも加工が出来るのである。
個人的に一番よいと感じるのが、記述問題について同じ部分点の答案だけをピックアップして表示できる機能。微妙な採点のズレをちゃんと調整できるし、画像データで記述を残すことが出来るので、その後のフィードバックのための手続きが非常にスムーズになる。
手で採点すべきかデジタル採点すべきかと問われたら、個人的には「誠実にフィードバックを考えるなら」デジタル採点をするべきだと答える。
自分の主観ではなく、数字をきちんと把握して生徒たちの全体像をつかもうとするならば、手採点ではデジタル採点で得られるデータに追いつけない。だからこそ、多少、操作が苦手でも、踏ん張って挑戦するべきなのだ。
答案を見ない弊害
とはいえ、デジタル採点も万能ではない。
デジタル採点は、仕組み上は設問ごとに画像データに切り分けて、解答を並べて採点していくという形になるので、どの画像が誰の答案で他の問題がどのくらい解けているのかということの検証がしにくい。
もちろん、一手間かければ答案全体を見ることも可能であるが、正直、動作の性能を考えると頻繁にやりたい手間ではない。
採点をしていると答案の流れが分かるので、生徒の思考も何となく読めるのだが、設問ごとに見ていると、生徒の思考の流れがつかめない。もちろん、主観的なものであるので、定量的なデータを示すことは難しいし、検証もしていない。まあ…生徒がどんな答案を書いていたっけ?ということは覚えられなくなっているので、答案を持ってきてもらわないと学習相談はしづらくなった感触はある。
また、ちょっとしたコメントを書くことが、恐ろしく面倒である。手書きであれば「誤字」とか「文法ミス」とかのちょっとしたコメントは簡単にかけるが、デジタル採点だとそれがとても手間になるので、どうしてもコメントの量は減る。まあ…考査で添削指導するべきではないという考え方もあろう。
点数は目的ではない
無事採点が終わる。
ここからが生徒の学習のためには本番である。いくら平均点を出して生徒を煽ってもそれはただの脅しである。自分で学ぶことにはならない。
どうやって答案から学んでもらうかの作戦をあと数日で考えなければ……。