紹介を忘れていたけど、こんな記事を見た。
勉強方法に関する情報収集の経路を複数回答で尋ねると、「YouTube」が57・4%で最多。「学校の先生」が56・1%、「Instagram」が46・0%だった。インターネットの記事や学習アプリ・サービスは3割台にとどまった。
「塾の先生」はさらに低い28・9%だった。ICT環境の普及とともに、生徒は自分で学び方を学べる時代に入ったといえる。一方で、「友人との会話」を挙げた生徒も43・2%いた。(https://www.kyoiku-press.com/post-249492/ より。2022/10/17確認)
データとしては偏りがあるような調査の仕方であるので、あまり鵜呑みにしても仕方ないとは言える。また、「勉強方法に関する情報収集」であって「授業」そのものではないので、その点にも注意は必要だ。
とはいえ、この傾向は自分の生徒の様子を見ていてもよく分かる気がする。
学び方を教えていない?
学校の授業でも、もちろん「自分たちで学び手として自立して欲しい」という願いを持って勉強法を教えながら、授業内容を伝えるということを先生たちはしているだろうと思う。
ただ、現実的には消化しなければいけないカリキュラムに追われてしまって、「学び方」を教えるよりも授業内容を教えることに手間をかけているのも事実だろう。
結果的に「学び方」については「宿題をやれ」という指示だけになりやすい。まあ、それでも素直に指示通りにやってくれれば、自然と学び方にはなっているような指示を出している先生は多いと思うのだけど、生徒にはそういう風には伝わっていないのかもしれない。
個人的には『独学大全』などの技法は非常に優れているので、子どもたちにも必要に応じてスキルとして手渡してよいものが多いと思っている。ただ、『独学大全』自体が授業内容にはならないだろう。
教えることを教えつつ、必要なタイミングで学び方というスキルを手渡すことは、カリキュラムを管理していくという観点から考えると非常に難しい。
学び方は必要な時に
逆に言えば、自分が必要になったときに「学び方」を知りたいと思うものである。
だからこそ、自分のニーズに合わせて必要な時に「学び方」を教えてくれる「先達」を求めるというのは理にかなっているように思う。
その時に、自分のニーズに合わせてYouTubeで適切な学び方を探すというのは、非常に賢い使い方だろうと思う。実際に生徒に人気の学習系のチャンネルも多くある。
例えばQuiz Knockなどは生徒に非常に人気が高い。
コメント欄を読むと、若者の素朴な感想が見えてくる。
こういうニーズにちゃんと応えている?とつつかれると正直ちょっと辛い面もある。
YouTubeがかなり目立つ見出しになっているけど、それ以上に高校生らしいなと思うのが、Instagramが5割近く情報源として使っていることである。
これは大人からあまり理解されていないのだけど、生徒のInstagramで色々な情報を得ている実態は、思っているよりも遙かに多い。リールの動画をよく見ているのですよね、長い動画ではなく。
これだけ短い動画を見ることになれていると、授業で好きにコントロールできないで話を聞かされるということは苦痛ですよね、そりゃあ。
使えるものは使えば?
個人的な感触としては、YouTubeでもInstagramでも使えるものは使えば良いし、子どもたち自身が見つけてきて気に入ったのであれば、とりあえずは使ってみれば良いと思う。
ただ、好き勝手に放置させておいてよいという訳ではなく、選ばせた上で定期的に見直しをするという行動の仕方とセットで教える必要があるだろうとは思う。情報は玉石混淆である。自分に見直すという行動をちゃんと覚えてもらいたい。
一方で大人側はこどもが日常的に触れているメディアをもっと知るべきでしょう。学校の外側に閉め出すことで見た目が整っていても、結局、学校の外で大変なことになっていては……。
子どもたちの様子を知るためによいのがSTEAMライブラリーのメディアバランスの授業案だ。
ピラミッドチャートを書かせてみて、その内容について知らないことを生徒に聞いてみれば良いのである。
そういう生徒に聞くという姿勢を放棄して、気に入らないものを片っ端からフィルタリングで排除していくというやり方は……早期に改善されたい。