まだ、書評になるほどしっかりと読めていないけど、この一冊はぜひとも夏に読むべき一冊だなと思うので途中経過で紹介。
「書くこと」とは何かを考える
「書くこと」に対して特化した一冊であるが、それぞれの筆者たちがそれぞれの「書くこと」の指導観を持って書いている一冊である。
他教科の実践まで取りそろえており、「書くこと」の幅の広さや考えなければいけないことの多さに気づける一冊だと思う。
そして、読んでいて何より思うこととしては自分の指導観に立ち返らざる得ないということだ。
本書で紹介されている実践は、同じ方向に全てが向いているわけではない。割とある提案とある提案の組み合わせによっては、指導観が対立してくるのではないかと思うような事例も並べられているように思う。
自分の場合は、本書の実践の中には、はっきりと「この実践は自分はやらない」と思うものもあれば、「こういう生徒への関わり方はしたくない」と思うものもある。
どれが正しいかという議論をしたい訳ではない。単純に立場や指導観や価値観が異なるだけの話だろうと思う。だからこそ、自分が他者の実践を通して、普段、どのような実践をしているのかということに立ち返らざるを得ないのだ。
例えばこんな話について考える
「書くこと」について、最近、下のような記事が話題になっている。
こういう文章指導の有効性や、それが生きてくる場面や文脈が多いことを十分に理解した上で、それでもなお、個人的にはこういう方向性の指導にはしたくないなぁと思うところ。
もちろん、型の指導や反復的なトレーニングは授業でもやった方が良い。だからこそ、先に述べたように、本書でも型の指導に近い話も述べられている(目指すところや方法論は全然違うけど)けど、自分としては反復トレーニング主目的にする授業はしたくないかな。
この手の話をすると「授業で型をやらないのか」みたいなことを責められるのでうんざりなのだけど、教えないわけがないし伝わらない文章しか書けないまま卒業させるのもどうかと思うので、伝わる文章を書けるようにするために頭を使う。
ただ、機械的に反復することで型を覚えることが、国語科の授業での学びなのかと言えばやはり違うだろうと退けるべきだと思う。
この辺りの話は第2章の渡辺久暢先生の評価にまつわる議論が自分には参考になる気がしている(かみ砕けていないので引用して紹介もできないところですが…)。
読んで書いてみるしかない
本書はしっかりと読むにはかなり骨の折れる本だ。
本書で紹介されている実践を俯瞰した上で、自分が一体、どのような立場で「書くこと」の指導に関わっているのかということを考えなければ、得られるものは多くない。
そして、自分自身がどのような「書くこと」を考えているのかということをハッキリと捉えたのであれば、自分自身で色々な文章を書いてみて、どういう授業をやってみたいのかを検討しなければいけないのだろう。