自分の職場で抱えている仕事は、割と特別な技術や知識が必要なものは多い。
まあ、マンパワーで形を整えているものは少なくないのである。
ただ、そういう仕事を抱えていくと、自分の仕事が減っていかない。自分がやらなければいけないことが増えてしまうと、自分が新しいものに挑戦する余裕を失ってしまうのである。
自分にしかできない仕事はない
自分の仕事を手放せない理由の一つは、自分にしかその仕事が出来ないと思いたいからである。
そして、この理由が最も仕事を手放せなくなる理由である。
要するに自分の承認欲求を自分で満たそうとしている状況である。こんな状況では、仕事は増えていく一方であるし、自分で自分の仕事を改善しようというモチベーションは生まれてこないのである。
残念だけど諦めて自分にしかできない仕事は無いという自分にとって都合の良い幻想を手放すしかないのである。
もちろん、自分がやった方が質的な面でより望ましいものが実現できるということは十分にあり得る話であるけど、たとえ少し質的に何か物足りないものがあったとしても、自分の手から手放していくことでしか、仕事を減らすことは出来ないのである。
自分にしかできない仕事はない。自分にしかできない仕事があるとすれば、それは今ある仕事を手放して、新しく始める仕事なのだ。
健全な業務の継承を
自分が仕事を抱えている限り、後輩に仕事が引き継がれていくことはない。
そしてはそれは組織にとっては致命的なダメージになる。仕事を正常に継承されないからこそ、土壇場になってやっつけ仕事で乗り越えるような引き継ぎの仕方になってしまうのである。
最終的には組織が健全に生きていかなければ、個人の仕事は成立しないのである。
自分の後輩に自分の仕事を手渡していくことが必要なのだ。
これも後生畏るべしではないけど、後輩に仕事を手渡したら自分の立場が無くなるような気分がしていると、なかなか手放せないのだ。何度も繰り返し書くけど、自分が絶対にやらなければいけないことなんてないのである。
自分が手放して新しく手に入れた隙間で、新しいことをちゃんと生み出していくことの方が、自分たちの組織にとって健全で、重要なのだ。
とは言えタイミングをだな…
仕事は手放した方が健全である。
しかし、誰かに言われて急に配置換えで手放させられるのはあまり面白いものではないし、そしてだいたいそういう上からの配置転換は上手くなどいかない。ろくに状況を分かっていない人が思いつきで動かすことはマネジメントとは言わない。
自分自身が仕事を抱え込まないうちに、軽やかに仕事は手放しつつも、一方でちゃんとタイミングを見計らわなければならない。タイミングを上手に見つけるためにも、仕事が人に固着する前に、さっさと手放すことが理想なのだ。
直前になって急に仕事を引き剥がされると、それこそ大混乱のもとになるのですよ…。