ならずものになろう

少しは教育について話してみたくなりました。書き続けて考え続けてみたい。

ならずものになろう

教育一般

東大国語の出題から

2026年の東大入試(国語)で、精神分析とオープンダイアローグの関係を論じたテキストが出題された。 mainichi.jp 出典の内容をここで詳しく解説するつもりはないが、読後に「権威」「内なる声」「対話」という三つの言葉が残る文章だった。 そして自分がず…

「知れば知るほど行動は慎重になる」という言葉が刺さった

2月23日、広島で性教育セミナーが開かれたというニュースを見た。 newsdig.tbs.co.jp 産婦人科医の河野美代子さんが登壇し、約130人の参加者を前に性教育の歴史や性感染症の事例について語ったという。 その中で紹介されたデータが重い。 2021年度、14歳以下…

留学生43万人時代に、学校現場は何を問われているのか

日本の大学が2033年の目標としていた留学生40万人を、8年前倒しで達成した。2025年6月時点で43万5200人。 この数字だけ見れば、明るいニュースのように映る。ただ、教育現場にいる立場から素直に喜べるかというと、少し複雑な気持ちが残るのである。 数字の…

「振り回される労働」の深刻さ

教員の精神疾患による休職が止まらない。東洋経済オンラインの妹尾昌俊氏の記事によれば、2024年度に精神疾患で1カ月以上休んだ公立学校教員は1万3310人、在職者の1.44%で過去最多だという。 世の中の平均が0.5%であることを考えると、教員という仕事がいか…

「障害の社会モデル」が教職課程の必修に

文科省が2026年2月19日、教職課程において「障害の社会モデル」を必修とする案を明らかにした。 www.kyoiku-press.com 特別支援教育に関わる内容を、幼・小中・高すべての教職課程で共通して学ぶ内容に位置づけるというものだ。ニュース自体は短いものだった…

不登校児童生徒の校外健診から考える

相模原市が2026年度から、不登校の児童生徒を対象に校外で無料の健康診断を受けられる取り組みを開始するというニュースを目にした。 news.livedoor.com 横浜市でも先行してモデル事業が行われ、同年度から全市立学校に拡充されるという。 完璧に抜け落ちて…

学校教育の「学び直す力」を考える

50歳で法科大学院に通い始め、57歳で司法試験に合格し、60歳を目前に弁護士になった方の講演記事を読んだ。 wakayamashimpo.co.jp 和歌山市の宮﨑まどかさんという方で、映像制作の会社を経営しながら、40代後半で自分の人生の方向性を見つめ直し、弁護士へ…

教育費が「削りにくい」時代に、誰が子どもへの投資を担うのか

明光ネットワークジャパンの調査結果が目に留まった。 www.kyoiku-press.com 教育費が前年より増えた家庭が6割、そして8割の家庭が物価高でも教育費は「削りにくい」と回答しているという。この「削りにくい」という言葉の重さを考えずにはいられない。 教育…

主権者教育の可能性と悩ましさ

常翔学園中学校が第7回目となる模擬選挙を実施するというプレスリリースを読んだ。 prtimes.jp 9つの国政政党から現役議員を招き、中学3年生がマニュフェストを聞いて模擬投票を行うという取り組みだ。2019年度から続く実践であり、「自らの考えを主張できる…

企業による教育プログラムの提供と教員の主体性について

カルビーが「ポテトバッグ部」という食農教育プログラムを2026年春から本格運用するというプレスリリースが出ていた。 prtimes.jp 袋型の培養土でジャガイモを育て、収穫し、食べるところまでを約4ヶ月かけて体験するプログラムで、スライド教材や栽培説明動…

「情報科」の誕生と、国語科が果たすべき役割

愛媛県の県立高校に初めて「情報科」が設置されるというニュースが報じられた(日本教育新聞、2026年2月5日)。伊予高校の「理数情報科」と新設の小松高校に設置されるとのことである。 www.kyoiku-press.com 情報教育は大切だからこそ こうしたニュースに触…

「AI人材育成」の光と影

千葉県のDXハイスクール域内横断支援事業として、ソフトバンクが高校生向けにAI活用人材育成プログラムを実施し、成果発表会を開催したというニュースを目にした。 www.softbank.jp 高校生たちがAIの基礎知識を学び、実際にAIを活用した課題解決の企画を立案…

「30分」という基準が学校を救うかもしれない

東京都教委が保護者からのハラスメント対策ガイドラインを策定した。2025年4月に施行された東京都カスタマー・ハラスメント防止条例を受けての動きである。 www.kyoiku-press.com 何が示されたのか 日本教育新聞の記事によると、ガイドラインでは、カスハラ…

リカレント教育の広がりと、教科教育の「射程」を考える

拓殖大学が社会人向けリカレント教育プログラム「TAKUDAIリカレント」を開始するというニュースが流れてきた。 prtimes.jp 少子高齢化と技術革新を背景に、社会人の学び直し需要が高まっている…という説明は、もはや聞き慣れたものになっている。 大学がリカ…

学校が「稼ぐ」ことの可能性と限界

こんな記事を見た。 prtimes.jp 学校発のクラウドファンディング 戸田市教育委員会が展開している「未来の学び応援プロジェクト」が興味深い。 ふるさと納税を活用したクラウドファンディングで、学校から提案されたプロジェクトを実現するための資金を募る…

個人の実践から組織の実践へ

今週のお題「変えたいこと」 文科省委託事業の「生成AIパイロット校」の成果を共有する公開学習会が2月2日に開催されるという。 reseed.resemom.jp パイロット校の担当者と直接対話しながら、活用の工夫や運用のポイントを確認できる場だそうだ。こうした実…

矛盾が示す現実

こんな記事を見た。 www.kyoiku-press.com 昨年の自殺者数が発表された。全体では初めて2万人を下回り、過去最少を記録した。一方で、小中高生は532人で過去最多を更新しているという。 この矛盾をどう受け止めるべきか。 社会全体では自殺対策が一定の成果…

授業時数の削減に思う――時間の制約と向き合うこと

文科省の調査によると、標準授業時数を大幅に上回る教育課程を組む公立小・中学校が減少傾向にあるという。中学2年で言えば、標準1015時間に対して1086時間以上の授業を組んでいた学校が、昨年度より12.7ポイント減って2.5%にまで減った。小学校でも同様の傾…

生成AIとの付き合い方で問われるのは「結果」ではなく「責任」である

生成AIが教育現場に入ってきて、自分たちはどう向き合うべきか。 この問いに対して、多くの議論が「どう使うか」「何ができるか」に集中している。 だけど、実は大切なのは別のところにもあるのではないか。 生成AIを教育で活用する際、自分たちが本当に問わ…

AIと教育の現在地――数字が語るもの、語らないもの

生成AIに情報収集させていて見つけた、教育におけるAI活用の統計をまとめたサイトを読んだ。 programs.com 125を超える統計データが並ぶページで、2026年時点でのAI教育市場の規模や学生・教師の利用動向が詳細に報告されている。 数字を見ていると、自分の…

授業時数を削ってまで研修時間を確保する

文科省が「調整授業時数制度」の具体案を示した。 標準授業時数を一定範囲で削減し、その分を「裁量的な時間」として再配分できるようにする制度である。この裁量的な時間は「学習枠」と「研究・研修等枠」に分かれており、後者は「授業改善につながる校内研…

「受験地獄」が英語版Wikipediaに載っている意味

たまたま、ウィキペディアを見ていたら英語版に "Examination hell" という項目が存在することを知った。 日本の受験システムが、海外からどう見られているのか。 Wikipediaによれば、この言葉が生まれたのは1970年代初頭とのこと。 明治維新後の試験制度に…

共通テスト1日目、お疲れさまでした

共通テスト1日目が終わった。受験生のみなさん、そして現場で奔走された先生方、本当にお疲れさまでした。 1日目を終えた受験生へ まず、ここまでよく頑張ったと思う。共通テストの1日目は、長い受験準備の中でも特に緊張感の高い時間になります。 会場の雰…

いつか、必要な時に出会うだろう

最近、若手の教員と話をしていて気づくことがある。大村はまや東井義雄、斉藤喜博といった名前を出しても、「まあ……うん?」という反応が返ってくるのである。 もちろん、知らないこと自体を責めるつもりはない。ただ、ああ、そういう時代なんだなぁ…と思う…

暴行動画拡散事件が問いかけるもの

栃木県立高校で撮影された暴行動画がSNSで拡散され、1億回以上再生される事態となった。県教委は「誹謗中傷はやめて」と呼びかけ、学校には200件以上の電話が殺到し、部活動の大会出場を辞退するところまで出ている。 digital.asahi.com この事件について、…

首都圏の入試が始まる

今年も入試シーズンが始まる。 明日辺りから首都圏近県だと中学入試がスタートするケースが多いだろう。 きっと、色々なことが起こるんだろうなって感じている。子どもの数は減っているのに、中学入試の競争は苛烈になっているイメージがある。 倍率は低下し…

AIとの付き合い方を考えるために

生成AIの活用の勢いはよいのだけど、危ういなあ…と思うことが増えている。 だからこそ、バランスを取って何か踏みとどまれるような観点は必要なはずである。 その意味で、この一冊は今、一番読まれるべき本だろう。 はじめてのAIとのつきあいかたワークブッ…

何を誇りに残せそう?

学校の周りからへの注文が厳しい。 学校の身から出た錆、自浄作用のなさが積み重なってきた結果が今なのかもしれないが、それでも今、それに直面させられている現場は苦しかろう。 色々なもの、自分の専門性だと思っていたことが、削り取られていくときに、…

学校に自浄作用があるかどうか

こういう記事が非常に最近は多い。 www.kyobun.co.jp 学校の最近に多いのか、最近になってきちんとコンプライアンス意識が浸透してきたから件数として計上されるようになったのか、たまたまなのか、本当に増えているのか、何が原因なのかは自分には判断しか…

高校探究のこれからは…

昨日、発売された本が届いた。 高等学校 探究的な学び実践事例集 次の一手への道しるべ 学事出版 Amazon ノウハウ本というよりは、かなり骨太に分析的に書かれたものであるので、読むのには手間がかかる。 N=1の探究の持論を語るというよりは、いくつかの事…

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